前回は、「腸内洗浄」が腸にもたらす悪影響を説明しました。今回は、「便移植」は難病に苦しむ人にとって夢の治療法になり得るのか、検証していきます。

便移植の具体的な効果は、まだ研究途中

難病で苦しんでいる人に、他人の便を移植したら別人のように軽快した――そんなシーンがテレビの特集で放映され話題を集めました。これは、便を介して腸内細菌を移植するというもので、便移植とも呼ばれています。

 

腸の好不調は、様々な疾患の発症を左右することがわかってきています。理論的には、腸内細菌が悪玉菌に偏っていると発酵が健全に行われず、腐敗となり、身体に害をもたらす物質が生産されやすいといえますが、では実際に、どのような腸内細菌の構成になるとどんな疾患の原因になるかといった詳細までは、まだ明らかになっていません。

 

ただし一部の医療機関や研究機関では、マウスやヒトで腸内細菌の移植による治療研究が始まっています。

テレビの放映内容を鵜呑みにしてはいけない

テレビの放映内容は、そうした研究の〝さわり〟であり、まだ医療として確立されたものではありません。

 

腸内フローラの研究は今や世界各国で取り組まれるようになったものの、人種差や環境、生活習慣によって腸内フローラに違いはあるのか、あるとしたらどんな違いなのかといったところは、まだ研究の途上です。

 

欧米人で便移植に成功したケースがあっても、それが日本人に当てはまるとは限りませんので、テレビで放映されたからといっても現時点で、あたかも夢の治療法のごとく、過度な期待を持つのは早計といえます。

 

便移植は将来的に、難病を救う治療法になる可能性は十分ありますので、今後の研究に期待したいところです。

 

結果を急ぐあまり、十分な科学的根拠がない研究をもとにしたのでは、決して正しい治療法は得られないと思います。腸内フローラの実態が完全に解明されてから、それに準ずる治療法の検討がなされるべきと考えます。

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    本連載は、2016年4月30日刊行の書籍『不老「腸」寿』から抜粋したものです。記載内容は予防医学の観点からの見解、研究の報告であり、治療法などの効能効果や安全性を保証するものではございません。

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    村田 公英

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