前回は、「トクホ(特定保健用食品)」なら効果を期待できるのかを検証しました。今回は、整腸のために「野菜ジュース」を飲むことが得策ではない理由を見ていきます。

食物繊維目当てで「野菜ジュース」を飲む人は多いが…

野菜が手軽に摂れると人気の野菜ジュース。忙しくて料理の時間がとれないビジネスパーソンや、噛むのが苦手な高齢者にとっては便利でしょうし、野菜そのものは苦手だけれどジュースなら飲める、という人も少なくないようです。

 

確かに、不足しがちな野菜のビタミンやミネラルを補充したり、のどが渇いたときの飲み物として、糖分たっぷりの甘いソフトドリンクよりは野菜ジュースのほうが健康には良いと思います。

 

しかし、野菜の食物繊維をあてにして、整腸法の一つとして野菜ジュースを飲む、というのは得策とはいえません。食物繊維の観点で考えると、野菜そのものの代わりになるほどの量は、ジュースには含まれていないと考えるのが賢明です。

 

野菜ジュースは加工の過程で粉砕によって、食物繊維が水に溶けにくいタイプと、水に溶けるタイプに分かれます。前者を「不溶性食物繊維」、後者を「水溶性食物繊維」といいます。

 

このうち、腸の働きを高めお通じを良くするのは主に不溶性食物繊維のほうです。繊維が水を多く吸収して数倍に膨れ、これが腸を刺激して排便を促すのです。

 

ところが、野菜ジュースにすると、野菜そのものに比べこの不溶性食物繊維が少なくなったり、成分の割合が変化したりするため、野菜を食べたときと同じだけの食物繊維が賄えるとはいえないのです。

 

また、食物繊維はある程度大きいほうが、腸を刺激しお通じを良くする作用に優れていることがわかっています。つまり、同じ野菜でも、「かさ」をしっかり摂れるほうが便の量も増え、同時に便が含む水分量も増えるので、お通じが良くなるというわけです。

 

その点、野菜ジュースでは繊維が細かくなりすぎてしまうので、期待するほどの作用は得られないと考えられます。

腸内環境の改善には、野菜そのものを摂るほうがベター

青汁も同様です。青汁は出始めのころより今は、味やにおい、のどごしがより良いものへと改良が加えられた代わりに、本来の青汁の良さが薄れていないでしょうか。

 

青汁そのものは健康に良い飲料だと私は思っていますので、選ぶのならせめて、果物も含め、甘味料が加えられたものはできるだけ避け、食塩も少ないか無添加のものが望ましいと思います。

 

食物繊維を補充しているつもりが、知らないうちに糖分やエネルギーを過剰に摂ってしまっていることになりかねません。青汁を飲めば一生健康になるかのようなCMはいただけません。

 

これらのことから、こと腸内環境を良くする目的なら、ジュースよりは野菜そのものを摂るほうがベターといえます。時間がなければカット野菜や冷凍野菜、市販の惣菜などを活用してもいいのです。

 

食物繊維の多い野菜を、しっかり噛んで食べることにより、満腹中枢が刺激されて過剰な食欲を抑制したり、食後の血糖値の上昇を緩やかにしたりする作用も期待できます(以下図表を参照)。

 

[図表]「野菜ジュース」は「野菜」の代わりになるか?

[図表]「野菜ジュース」は「野菜」の代わりになるか?

本連載は、2016年4月30日刊行の書籍『不老「腸」寿』から抜粋したものです。記載内容は予防医学の観点からの見解、研究の報告であり、治療法などの効能効果や安全性を保証するものではございません。

不老「腸」寿

不老「腸」寿

村田 公英

幻冬舎メディアコンサルティング

本書では、約50年の長きにわたり乳酸菌の研究を行ってきた著者が、本当に効果のある腸内改善のノウハウについて解説していきます。 「乳酸菌生産物質」を活用した腸内改善を行えば、100歳まで健康に長生きすることが可能にな…

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