活況を呈する「NZ物件オークション」の実際

オークションによる売買が多いニュージーランド不動産市場。なぜ、これほどまでにオークションが人気なのでしょうか? 今回は、ニュージーランド物件オークションの様子を見ながら、人気の理由を探ります。

定価より高く、確実に物件を売却できるオークション

絵画のオークション、または、築地のせりを思い出して下さい。ニュージーランド不動産市場では、主にオークションを活用して販売が行われます。特にオークランドでは、80%もの高い確率でオークション売りが行われています。

 

 

では、実際にどんな流れで売買が成立しているのか、裏事情も含めて見ていきましょう。

 

売主の物件は、10年以上前に買ったのか、5年以内に買ったものなのかで販売期待価格に大きな差がでます。10年以上前に買った物件なら、どんな値がついても基本的に損はしません。しかし、どこまで欲を出していいのか判断が非常に難しいのです。

 

一方、5年以内に家を買った売主の場合、キャピタルゲインを得ること自体は期待できるのですが、もし改装工事をするなどの追加費用があれば、多くの利益を得ることはできません。

 

しかし、定価付けで販売すると、マーケットの反応が弱かったり、判断を間違えば売れないこともあります。やはりオークションでの販売が、利益を得る最も最適な方法なのです。

 

買い手が競い合うことで予想以上の高値で売れることも

10年前、53万5000NZドルで購入された、ロイヤルオーク地区にある3LDK物件のオークション例を紹介しましょう。

 

 

私たちセールスコンサルタントのリサーチ及びマーケット予測では、最低でも85万NZドルの価値がある物件だと思われました。上手くいけば、90万NZドル、100万NZドルも夢ではありません。

 

売主いわく、利益が出て、買ってくれる人がいればすぐにでも売りたいとのことなのですが、私たちとしては「最高値で売れるように、オークション方法でマーケットに出すべきだ」とお話しました。

 

オークション方法を利用する場合、通常の広告宣伝費以外に、オークショナー費用がかかります。

 

オークショナーとは、オークションの司会者のようなものです。ニュージーランドでのオークショナー相場は、575NZドル(税込み)、日本円にして約4万円。この費用を追加し、ある程度の広告媒体に広告を設定すれば、内覧訪問者数も保て、オークションの成功へとつながるわけです。

 

オークション日数日前、私たちセールスコンサルタントは、3週間の内覧営業を終え、買い手候補の数と、訪問者の様子を売主に報告します。

 

そして、オークショナーと共に最後の打ち合わせを行います。ここでは、販売最低価格を設定します。当日は、この最低価格をもとにオークションを行います。今回の場合は、最低販売金額を88万NZドルに設定しました。

 

当日は、オークショナーのアナウンスから始まります。

 

「本日はオークションへの参加どうもありがとうございます。さあ、どなたがオープニングビット(手を上げること)してくれますか?」

 

このような時、参加者は様子伺いをして手を上げなかったり、積極的に手を上げてきたりと、状況によって色々あります。

 

ただ今回は、積極的な買い手候補が数人いたため、さっさとオークションを終えようよと言わんばかりに、80万NZドルと、いきなり大きな数字が出ました。すかさず、別の人が、85万NZドルと言います。すると、最初の人が再び86万NZドルと、1万NZドル上げてきました。

 

もし、60万NZドル台からオークションが始まると、オークショナーは、5万NZドルづつ手を上げてくれるように求め、80万NZドル台へと導いていきますが、既に80万NZドルが出ていますので、1万ドル単位の競い合いが繰り広げられます。

 

第三者が、90万NZドルとビットしてきました。すると、最初の人が再び91万NZドルに上げます。すかさず、90万NZドルといった人が、95万NZドルと声を上げます。

 

ここで、最初に手を上げた人が、「オンザマーケットなのか?」と聞いてきました。この物件は最低価格を越え、売却する数値に達しているのか、と尋ねているのです。

 

最低価格は88万NZドルなので、オークショナーは一瞬ポーズをし、担当セールスマンと打ち合わせをしたあと、「オンザマーケット!」と叫びました。

 

さらに「最高値の人がこの家の新しいオーナーだ」と叫び、再び1万NZドルづつ価格を上げる競い合いが始まりました。最終的に、最初に手を上げた買い手が、98万NZドルと手をあげ、売買成立となりました。売主期待価格の10万NZドルもの差が出た結果となりました。

 

もし、定価付けや、ネゴシエーション売り(交渉価格)だったら、せいぜい90万NZドル程度で売買成立していたことでしょう。

 

オークショナーは最低販売価格を知っていますが、今回の場合、88万NZドルを超えても止めずに、競い合う場を見守りました。そして、価格の吊り上げが止まった時点で一旦オークションをポーズし、オンザマーケットの告知をするのです。

 

もしも、最低販売価格に満たない場合はどうなるのでしょうか? そのような場合は、可能な限り金額を上げてもらうよう競い合いをしてもらいます。

 

それでも足りない場合は、最高値を出した人を別室に呼び、最低価格を提示し「この金額なら購入できるよ」と説得します。買主が了承すれば、再度オークションを開始し、更に競い合う人がいないか探します。

 

そこで、今まで上げていなかった人が突然上げてくることもあり、購入できると思っていた買主は、ショックのあまりに諦めることもありますが、更に競い合い、最高値で売買成立へと進むこともあります。売主にとっては、最高のオークションと言えるでしょう。

 

一方、提示した価格で受けない場合は、再度、他の人が手を上げないかと、オークションを行います。それでも誰も上げない場合は、残念ながらオークション不成立となります。しかし、私たちセールスコンサルタントは、その場に来た買い手候補に、条件付で購入する契約書交換をしないかと説得を始めます。

 

オークションに参加しているということは、建物検査も終わり、また課題もないと判断されているということです。資金の用意をしている人が、無条件で購入するのです。しかし、資金の用意ができず、ローン申請をすれば購入できるという人は、条件付契約書を交換し、その条件が整えば売買成立ということになります。

 

たとえオークションで成立しなくても、条件付契約で買ってくれる人が、オークション当日に契約書交換してくれることになるので、時間の短縮ができます。オークション日程に区切りがあると、条件付契約者は、いつでも購入できるということで別の物件を見学したりと、契約書交換へと進む行動の決心が付かないことが多いのです。

 

 

ただ、オークションでの購入は損をするのではないか思う方もいるかもしれません。そんな時に使えるテクニックとしては「競い合いに乗らない」というものがあります。他の人の様子を伺い、オンザマーケットという声が聞こえて、誰も手を上げなくなってから、始めて手をあげるのです。

 

競い合っていた人にとっては、もう自分が買えると思っていた矢先に、別の買い手が出現したショックはとても大きいです。

 

さらに、小走りに競いあうのではなく、予算があれば3万NZドル、5万NZドル単位で上げていきます。相手が1万NZドルなど小刻みに上げても、その倍の2万NZドルとか上げれば、相手はあきらめ、手を上げてこないこともあります。

 

もちろん、予算がないとこのテクニックは使えませんが、予算内でうまく手を挙げ、他の人を押しのけて購入できるようタイミングを計りましょう。

連載償却メリットでも注目!「ニュージーランド不動産」の最新事情

Goo Property NZ Ltd. 代表取締役社長

1982年、大阪女学院短期大学英語科卒業。カリフォルニア大学デイビス校留学。帰国後、旅行会社のツアーコンダクターに従事。1987年、ニュージーランドツアーの添乗を機に、移住希望を持つ。

1995年1月の阪神・淡路大震災を経験し、1996年に移住を実現。 自己の居住用物件さえあれば、落ち着いて生活ができると感じ、ワンルームマンション購入を実行。その経験を生かし、不動産業界に参入。当時インターネット環境が整いつつある中、日本語ウェブサイトを開設し、留学・観光・不動産投資についてのコンサルティングを始める。

現在、ニュージーランドの大手不動産売買仲介会社であるHarcourts New Lynn(ハーコウツ・ニューリン)支店にてセールスコンサルタントとして活動しながら、日本人のための投資コンサルタント会社Goo Property NZの代表としても活躍中。

著者紹介

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