ビットコインの発明者「サトシ・ナカモト」を巡るエピソード

前回は、暗号通貨の理解に役立つ「専門用語」について説明しました。今回は、ビットコインの発明者「サトシ・ナカモト」を巡るエピソードを紹介します。

「サトシ・ナカモト」という人物は存在しない!?

「わたしはサトシ・ナカモト、ビットコインの発明者です」そう発言したのはクレイグ・S・ライト氏、オーストラリア人の44歳男性だった。

 

「サトシ・ナカモト」を名乗る人物がネット上で発表した論文を元に賛同者が開発したとされるビットコイン。その「サトシ・ナカモト」の正体をめぐっては様々な憶測が広がり、大学教授や金融関係者ではないかという見方から、偽名が使われた可能性、そもそもサトシ・ナカモトという人物は存在しないという説まで、人々の興味関心をそそり、「サトシ・ナカモト」としてこれまでに数々の候補が浮上してきた。

 

フィンランドの経済社会学者Vili Lehdonvirtaとダブリンのトリニティ・カレッジにて暗号理論を研究したアイルランドの学生Michael Clearをはじめ、日本の数学者の望月新一などが「サトシ・ナカモト」であると報じられてきたが彼らは皆、「サトシ・ナカモト」であることを否定している。

「反論の余地のない説明を行う」と主張していたが…

2014年3月には米ニューズウィーク誌が、カリフォルニア州在住のドリアン・サトシ・ナカモト氏が開発者の「サトシ・ナカモト」であると報道した。しかしドリアン・サトシ・ナカモト氏はこれを否定し、また同日P2P財団にサトシ・ナカモトのアカウントで3年振りに投稿されたメッセージでは「わたしはドリアン・ナカモトではない」と述べられている。

 

またマウント・ゴックス創設者のジェド・マケーレブが「サトシ・ナカモト」の正体ではないかと言われたこともあったが、真相は暗闇の中だった。

 

そんな最中の2016年5月2日、「サトシ・ナカモト」であると自ら名乗り出た人物がいた。グレイグ・ライト氏だ。グレイグ・ライト氏は2015年末頃から「サトシ・ナカモト」ではないかという噂があった。BBC、英誌エコノミスト、米誌GQの三媒体に対して名乗り出たグレイグ・ライト氏は、BBCの取材に対し、証拠として本物のサトシ・ナカモトしか知りえないはずの暗号キーを使って電子署名をしてみせたため、「サトシ・ナカモト」の正体をめぐる論争は一見幕を閉じたかのように思われた。

 

ライト氏が行った告白に対しては多くの疑問の声も寄せられていたが、ライト氏はこれに対して「反論の余地のない説明を行う」と主張していた。しかし、4日後の5月6日、彼は自身のサイトで「Im’ Sorry」と記したエントリを公開し、以降一切の説明を行わないと説明した。これは、真の「サトシ・ナカモト」への謝罪の意を示しているのだろうか?「サトシ・ナカモト」とは何者なのか、もうすでに名前が挙がっている人物なのか、真相はまた闇の中になってしまった。

本連載は、2016年11月24日刊行の書籍『一冊でまるわかり 暗号通貨 2016~2017』から抜粋したものです。その後の法律、税制改正等、最新の内容には対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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連載初心者のための「暗号通貨」入門

アルタアップス株式会社 代表取締役CEO

大阪府出身、1993年生まれ。京都大学法学部在学中。複数のITベンチャー企業に参画し、マーケティングと経済を実地で学ぶ。その後、偶然読んだナカモト氏の論文をきっかけに、ビットコインおよびブロックチェーンの可能性に関心を持つ。独自で知識を深めるほか、ブロックチェーン技術の研究開発を行う企業へジョイン。現在は国内における啓蒙活動としてセミナーの開催やカンファレンスへの参加および在日中国人向けの新聞紙『日中商報』へコラムを寄稿している。

著者紹介

一冊でまるわかり 暗号通貨2016~2017

一冊でまるわかり 暗号通貨2016~2017

森川 夢佑斗

幻冬舎メディアコンサルティング

電気代を暗号通貨で支払えるようになる――こんなニュースが伝えられるなど、「暗号通過経済」の到来が間近になっている。本書は「ビットコイン」をはじめとする暗号通貨やそれを支えるブロックチェーンについて、興味を持って…

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