今回は、自動車代金の支払いで利用できる「残価設定プラン」の落とし穴について見ていきます。※本連載は、ファイナンシャルプランナーとして年間100名以上の家計相談をこなす岡崎充輝氏の著書、『気を抜くと誰もが貧乏になる時代の「お金」の基礎力』(三才ブックス)の中から一部を抜粋し、お得な自動車の買い方を見ていきましょう。

下取り価格を差し引いた残額を、分割払いにするプラン

ハイブリッド車の購入は、燃費の面でも、税金の面でも、計算上はそれほど得にならないことがわかりました。

 

消費税率10%引き上げの導入は、本書執筆時点の2016年9月では2019年10月の予定です。まだ2~3年ほど先になります。今から計画的に貯蓄しておけば焦る必要はありません。

 

とはいえ、家庭によってはさまざまな事情があるので、2019年10月までに自動車購入費用を貯蓄できるか不安に思う人も多いでしょう。

 

自動車購入費用に心許なさを感じている人が、まず検討するのが「残価設定プラン」だと思います。

 

これは、自動車ショールームを訪れると、かなりの確率で店員から得だとすすめられるものです。では、この「残価設定プラン」とは、どのような内容のもので、本当に得なのかを見てみましょう。

 

残価設定プランとは、あらかじめ設定した年数、たとえば3年後の車両の下取り価格を差し引いて、残りの金額を3年間の分割払いにするというプランです。自動車価格の全部を分割払いするのではなく、将来の下取り価格を差し引いて残りを分割払いするので、その分安くなり、得するというのが理屈です。

高い利息の発生に注意

しかし、この支払い方法にはものすごく注意が必要です。トヨタ自動車のホームページに掲載されている計算例を見てみましょう。なお、わかりやすいように、単位などの表記や細かい表現は本書表記に合わせ、説明の一部を補足・省略しています。

 

【残価設定型プランお支払いについての注意事項“「3年分」の算出例”】

 

[現金販売価180万円(消費税込み)の車両を仮定]

 

<支払い条件>

 

●3年(36回)払い

●ご購入時のお支払い額(頭金):30万円

●ボーナス月(1月・8月)お支払い額:14万7000円

 

①初回お支払い額(初回お支払い月は2010年5月):9580円

②月々のお支払い額(2回目以降):8600円×28回

③ボーナスお支払い額:14万7000円×6回

④最終回お支払額(36回目)

 

最終回お支払い後、同じ販売店で

 

※新車にお乗換えの場合:0円

※クルマをご返却の場合:0円

※クルマをお客様がお買い上げの場合(一括精算でお買い上げする場合):63万円

 

→お支払い総額206万2380円(実質年率8.0%)

 

もうおわかりですね。180万円の自動車を購入するのに支払う金額は206万2380円。つまり26万円以上の利息を支払うわけです。

 

3年間で26万円の利息。これはかなりの金額ですね。消費税が8%から10%へと2%増税されると180万円は183万6000円になるだけです。差額は3万6000円にすぎません。現金がないからといって焦って購入するよりも、しっかりと貯蓄して購入したほうがいいのはいうまでもありませんよね。

 

自動車販売店は、数年に一度買い替えが発生するほうが営業的には助かります。ですから積極的に「残価設定プラン」をすすめてきます。

 

もちろん3〜5年に一度、定期的に新車に乗り換えたいのであれば別です。そうでなければ、「自動車は現金で購入し、できるかぎり長く乗る」というのが、実は一番家計に優しい購入方法なのです。

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