買収する側とされる側、双方の思惑と課題

写真:GTACスタッフ

「合併ブーム」に伴う交渉額の高額化は買収側の冷静な判断を見失わせます。一方、吸収される側の銀行も、この流れに乗らないと生き抜くことは困難になるでしょう。今回は、スリランカで合併が噂される銀行の双方が抱える苦悩をご紹介します。

買収金額は必要以上に高額になっている!?

合併交渉では必要以上の額を支払いやすい。なぜなら、その支払いは株で賄われるからだ。とは言え、もし必要以上に支払っている場合は、その銀行の経営陣はおそらく、起こり得るシナジーを期待し過ぎている。高いカネを払わされたと夫婦が家具を投げ合い喧嘩をしていたからと言って、必ずしもその結婚は失敗だったとは判断できない。取引が失敗だと見なされるのは大抵、交渉成立時に約束された利益を片方が提供できなかった場合だ。

 

経営陣は、景気が過熱したときにこのような交渉を交わしてしまう、そして、その悪交渉による産物は負の遺産として残される。スリランカの銀行はじきに、株主がM&Aを行うほか生み出せないぐらい莫大な利益を要求し、その要求が高まり続くことに気付くだろう。第4局面ではこのから騒ぎがピークに到達する。

コストの増加が小規模の銀行を追い詰める

業界の大変遷により、簿価を上回るプレミア価格がつく銀行は散見されるだろう。そして、どの銀行もまもなく最低資本金を100億スリランカ・ルピーに引き上げないといけなくなり、小さな銀行は、資本金の底上げに苦労するはずだ。というのも小規模な銀行のビジネスモデルでは、資本金の増額が出来るほどの資金繰りは難しい可能性が高いからだ。更に、金利リセットから生じる増益、債券ポートフォリオによる資本収益、金担保融資における減損処理分の低下―これらはすべて今年いっぱいまで続かないのではないだろうか。

 

銀行家の思惑が計画倒れしてしまう理由を前回2つ紹介したが、3番目の理由として考えられるのは、上昇中のドル金利だ。おそらく今年の第4四半期までには、外貨建て借入に依存し始めた銀行にとって厄介な存在となるだろう。外貨建て借入は、2008年に全銀行借入金の33%を占め、2013年には65%、昨年は少し下落し60%となった。外貨預金金利の上昇は、通貨が弱いスリランカ・ルピーを複利として支払うことで対応する可能性が高い。

 

そして4つ目の理由は、バーゼルⅢ導入により増加するコストと複雑化する規制対応である。コンプライアンス面のコストが今以上にかさむことで、小さい銀行は衰弱してしまう。

 

今や電子化された「お金」という商品を扱う以上、銀行にとってITは欠かせない存在だ。電子マネーであったとしてもハッキングで盗まれる可能性があるため、サイバー犯罪を防止するためのコストも馬鹿にならない。この業界で生き残るために必要不可欠なコストを追加できるのは、規模が大きい銀行だけだろう。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年5月に掲載した記事「NDB’s Rajendra Theagarajah is Aiming to Shake Up Banking」を、翻訳・編集したものです。

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『ECHELON(エシュロン)』は、スリランカの三大ビジネス誌のひとつ。著名な経営者・ビジネスパーソンのインタビュー記事から、同国の金融・経済・投資・不動産などの最新事情、ラグジュアリーなアイテムやライフスタイル等の記事を幅広く掲載。経営者層やハイクラスなビジネスパーソンなど、同国の物的・知的富裕層を多数読者に抱える。(写真はチェアマンのChanna De Silva氏)

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