今回は、会社の価値を決めるといっても過言ではない「自己資本」について説明します。※本連載では、株式会社アイ・シー・オーコンサルティング主任コンサルタントで、公認会計士・税理士の福岡雄吉郎氏の著書『決算書で面白いほど会社の数字がわかる本』(あさ出版)より一部を抜粋し、経営効率を上げるための決算書の読み方を、図解を用いて分かりやすく説明します。

「資本金」と「利益剰余金」の違い

自己資本は「ポケットから出したお金」または「自分で稼いだお金」の蓄積です。前者は「資本〜」、後者は「利益〜」という名前がつきます。

 

【図表1】自己資本には、まぎらわしい名前がいっぱい

 

この自己資本、現在は〝純資産〟と呼ばれています。

「資本金」とは、会社を作った当時、あるいは会社を大きくするタイミングで、自分で出した、もしくは応援者(資本家)がポケットから出してくれたお金を指します。この応援者は、「お金を返してくれ」とは言いません。

 

“返済不要のお金”という意味で、他人資本とは違うのです。「資本剰余金」も資本金と似たようなものとお考えください。

 

図表2】最近増えているM&A(会社売買)のポイントは自己資本

 

いっぽう、「利益剰余金」は会社を設立以降、会社が稼いだ利益の合計です。損益計算書でも利益は登場しましたが、それは、決算日を基準にした、たった1年間だけの成績でした。

 

損益計算書の当期純利益(税引後当期純利益)は、貸借対照表の利益剰余金にたまっていきます。つまり、利益剰余金を架け橋にして、貸借対照表と損益計算書はつながっている、といえるのです。

「利益剰余金」はまるまる現金では残っていない!?

貸借対照表は、過去からの継ぎ足しでできています。なので、利益剰余金とは、創業から現在までに蓄積した利益、つまり頑張った努力の結晶といえるのです。

 

毎年利益を稼いでいる会社は、これがたくさんあります。

 

反対に業績が鳴かず飛ばずなら、利益剰余金はほとんどありません。赤字が続けば、これはマイナスになります。

 

剰余金という名前をみると、「会社に金が余っている!」と勘違いする方がいます。しかし、この剰余金は、その金額がまるまる会社に残っているわけではありません。

 

個人でお考えください。いままで稼いだ給料はそのまま現金で残していますか?自動車、自宅、洋服などに使われて、消えているはずです。

 

つまり、利益剰余金は姿を変えて、現金では残っていないということなのです。どうか、このことをご理解ください。

 

【図表3】利益と利益剰余金と現金の関係を確認しよう

本連載は、2016年7月9日刊行の書籍『決算書で面白いほど会社の数字がわかる本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

決算書で面白いほど 会社の数字がわかる本

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井上 和弘 福岡 雄吉郎

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