なぜ日本では「M&A」を戦略的に活用する企業が少ないのか?

いま、ビジネスの世界で求められている「ファイナンス」の技術ですが、使いこなせる人材は圧倒的に不足しています。では、ファイナンスの技術とは一体どのようなものなのでしょうか。本連載では、『ビジネスの世界で戦うのならファイナンスから始めなさい。』(CCCメディアハウス)より一部を抜粋し、M&Aを成功に導くために、企業はどのようにファイナンスの技術を活用し、経営戦略を実施しているのかをご紹介します。

多くの職場で身近になってきた「M&A」という言葉

最近、M&Aという言葉を経済ニュースで耳にすることも多いかと思います。みなさんが働いている職場でも、M&Aに直接的、あるいは間接的に関わった方が結構な確率でいらっしゃるのではないでしょうか。

 

本書『ビジネスの世界で戦うのならファイナンスから始めなさい。』の出版元であるCCCメディアハウスも、もともとは阪急コミュニケーションズという会社で行っていた出版事業部門を、TSUTAYAなどを展開しているCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)という会社に譲渡し、現在CCCメディアハウスとして活動しています。

 

インスタグラムというアプリは2012年にフェイスブックに買収されましたし、2016年には東芝のメディカル事業をキヤノンが買収しました。テリー・ゴウ(郭台銘)氏率いる鴻海精密工業がシャープを買収した話なども記憶に新しいでしょう。

日本国内でもM&Aの件数は大きく増加したが…

実は、M&Aは年々増加傾向にあります。図1は、1986年以降の日本国内におけるM&Aの件数推移です。

 

[図表1] 1986年以降の日本国内におけるM&Aの件数

MARR Online「1985年以降のマーケット別M&A件数の推移」より作成
MARR Online「1985年以降のマーケット別M&A件数の推移」より作成

 

これは公開情報だけですので、非上場企業のM&Aなどを合わせると実際にはもっと多いのでしょうが、1990年代前半までは500件程度だったM&Aが、2000年代後半になると2500件を超える年も出てきます。

 

日本国内だけでみても、M&Aはこの20年で4倍以上になってきているのです。

 

M&Aが増加傾向にあるのは、もちろん日本だけではありません。欧米では、実に8割もの上場企業がM&Aによって新たな事業領域へ進出することを考えています。

 

メルセデス・ベンツを作っているダイムラー社は、2014年にライドシェアリングアプリのRideScoutをM&Aしています。また、ダイムラー社はBMW社及びアウディ社と3社共同で自動運転用高精度地図のHEREを買収しています。アディダス社やアンダーアーマー社も、フィットネスアプリや食事管理アプリの買収にかなり力を入れています。

 

グローバル企業のトッププレイヤーはかなり戦略的にM&Aを活用しており、正直なところ、日本の企業は全体的に見てM&Aを経営戦略にしっかりと活用している企業はまだまだ少ないです。日本企業の性格的な問題なのかもしれませんが、日本企業は海外企業と異なり、案件が自社に持ち込まれるまで待ってしまう「待ち型」の企業が多いように思います。

 

日本国内でも、主体的に自ら案件を探しに行く企業と待っているだけの企業ではどんどん差がついていっていますが、グローバルな視点で見ると、日本企業はよりM&A競争に出遅れている感が否めません。

本連載は、2016年12月刊行の書籍『ビジネスの世界で戦うのならファイナンスから始めなさい。』(CCCメディアハウス)から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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連載M&Aを成功に導く「ファイナンス」の技術

TIGALA株式会社 代表取締役

1986年奈良県生まれ。15歳で起業。インターネット事業を売却後、未公開企業同士のM&Aサービスを展開。事業再生の計画策定や金融機関との交渉、企業価値評価業務に従事。
現在は、自身が代表を務めるティガラグループにて、ストラクチャードファイナンスや企業グループ内の再編サービスを提供。その他、複数の企業の社外取締役やアドバイザリーを務め、出資も行っている。
著書に、自身の15年間のキャリアを振り返った『15歳で起業したぼくが社長になって学んだこと』(CCCメディアハウス)がある。

著者紹介

ビジネスの世界で戦うのなら ファイナンスから始めなさい。

ビジネスの世界で戦うのなら ファイナンスから始めなさい。

正田 圭

CCCメディアハウス

ファイナンスという“考え方"を身につけると何ができるのか? ファイナンスがしっかりビジネスに活用できる法体制や環境が整ってきたのは、実はここ20年のこと。 しかし、ビジネスで実際に使えるファイナンスの技術をもって…

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