前回は、旧来のコインランドリー店にはない「洗濯代行型」の特徴を紹介しました。今回は、コインランドリーの事業化戦略に有効な他業種とのコラボレーションについて見ていきます。

「オールクリーニング」と呼んでもいい店舗

先に紹介したクリーニング店がコインランドリーを併設しはじめたという話は、コインランドリーの事業化戦略を考えるうえで大きなヒントを与えてくれます。つまりコラボレーションということです。

 

クリーニング店とコインランドリーは、これまでの業態の違いはさておき「衣類を洗う」という意味では、かぎりなく垣根は低いので、これをコラボレーションと呼んでいいのかどうか疑問はありますが、従来は、ちょっと考えられなかったことです。何しろどんどん廃業が進み縮小していくばかりのクリーニング業界から見れば、右肩上がりに伸びていくコインランドリー業界は、目の上のたんこぶのような存在だったはずです。コインランドリーのおかげで自分たちの商売がじゃまされているぐらいのことは、本音の部分では思っていたのではないでしょうか。

 

それが、ごく一部であれコインランドリーを併設するところが出てきた。これは画期的な出来事だと私は思います。これによってお客様から見れば「オールクリーニング」と呼んでもいい店舗が誕生したわけです。ここにいけば洗濯だけでなくクリーニングまで出せてしまう。「洗う」に関することが一度でできてしまうわけです。

 

もちろんコインランドリーを併設したといっても、ここで私が提案しているような有人店舗だからできるさまざまサービスを展開している店舗はありません。コインランドリーはあくまで無人店舗として動かし、どうしても問題が起こったときに、隣から駆けつける。そんなイメージでしょうか。

コンビニエンスストアの集客力を活かした事業化戦略

ただ、この戦略はクリーニング店の生き残り戦略としては有効だと思いますが、コインランドリー側から仕掛ける戦略ではないというのが私の考えです。先にも触れたように弊社は以前、クリーニングの取次店をコインランドリーに併設するという試みをして、早々に撤退した経験があります。そのときも説明したように、コインランドリーにくらべるとドライクリーニングの世界はとんでもなくたいへんです。洗濯代行をやるために必須ですからクリーニング店としての届出をするものの、間違ってもドライクリーニングの世界に足を突っ込んではいけないと思います。

 

むしろまったく無関係な他業種とのコラボレーションこそ事業化戦略のカギといえるでしょう。ではその他業種とは何でしょうか。狙い目はズバリ言ってコンビニエンスストアです。

 

やはりコンビニエンスストアの集客力は凄いです。弊社が埼玉県の北本市で運営していたコインランドリーは国道から少し入った場所にあるのですが、コンビニエンスストアのデイリーヤマザキとコラボして2008年に出店したのですが、いまだに毎月100万円以上の売り上げがあるようです。店舗は30坪(約99㎡)で洗濯機は22㎏、17㎏、12㎏が各1台、7㎏が4台、乾燥機は25㎏が2台、13㎏が6台あります。これでだいたい1日に平均40人のお客様がきてくれているのです。

 

駐車場は30台は停められる広々としたもので、国道を走るダンプがコンビニエンスストアに弁当や飲み物を買いに入ってきても、まったく狭さを感じさせません。コンビニエンスストアとコラボする狙いのひとつが、この駐車場の広さにあります。コインランドリーの利用者である女性の多くは、クルマを駐車するのがあまり上手ではありません。したがって駐車場は広ければ広いほどいい。

 

しかし、コインランドリーの店舗が単独でそれだけの広さの駐車場を確保するのは難しいのです。これまで慣れ親しんできたコンビニエンスストアに、新たにコインランドリーができた、というちょっとした驚きが、そのあとの集客につながるのです。

手堅く・長期的な利益を得る コインランドリービジネス新常識

手堅く・長期的な利益を得る コインランドリービジネス新常識

鈴木 國夫

幻冬舎メディアコンサルティング

「ローリスク・ハイリターン」な投資先として近年注目を集めるコインランドリー。しかし実際のところ、コインランドリーは本当に儲かるビジネスなのか? 本書では、業界に携わって37年のベテラン社長が、業界の歴史から最近の…

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