前回は、コインランドリーに「ファミリー層」などを呼び込む効果的な方法を説明しました。今回は、コインランドリーのサービスを進化させる可能性をもつ、「クリーニング師」という資格を紹介します。

往年の「洗濯屋」が現代に蘇るコインランドリー有人化

ところで、私ぐらいの年代の人なら、洗濯代行のアイディアを読んで「まるで昔の洗濯屋だな」と思ったはずです。確かにその通りで、昔はクリーニング店はみな、後ろに大きな白い籠を積んだオートバイで毎日近所を回っては、クリーニングの注文をとったり、できあがったワイシャツや背広を届けて回ったりしていました。忙しい主婦にとってはありがたい存在だったのです。そんなことから親しみを込めて「洗濯屋」とか「洗濯屋さん」と呼ばれていました。まさにコインランドリーの有人化によって往年の「洗濯屋」が現代に蘇るというわけです。

 

もちろんこうした往年の洗濯屋さんと同じ業務をする以上、洗濯屋=クリーニング店と同じ法令上の規制を受けることになります。

 

「クリーニング行為には水洗いやドライクリーニングのみでなく、受取、選別、プレス、染み抜き、乾燥、仕上げ、引渡等といった一連の行為も含まれる。したがって、このような一部の行為だけを行う場合もクリーニング所の届出が必要になる」(厚生省HP、クリーニング業法概要より)

「クリーニング所」としての届出と検査が必要

クリーニングというと、われわれはドライクリーニングにばかり目がいってしまうのですが、前述のクリーニング業法概要にもあるように店頭で受け取った洗濯ものを水洗いして乾燥し、それを仕上げる、そういったことすべてがクリーニング店の仕事として規制の対象となっていることがわかります。さらにクリーニング業法では、クリーニング店=クリーニング所について次のように規定しています。

 

「クリーニング所には、一般クリーニング所と洗たく物の処理をせず受取・引渡のみを行う取次所がある。クリーニング所以外では洗たく物の処理を行わせてはならない。クリーニング所は洗たく機・脱水機を置くほか、さまざまな規制がかかっている。一般クリーニング所には、クリーニング師を置かなくてはならない。クリーニング所を開設・廃止するときは、都道府県知事に届出をしなくてはならない。また、クリーニング所は、都道府県知事の使用前の検査確認を受けなければ使用してはならない」(同)

 

このようにコインランドリーをクリーニング店として運営するには、「クリーニング所」としての届出と検査を受けることが必要なだけではなく、クリーニング師の資格をもったスタッフを置かなくてはならないのです。

 

クリーニング師の免許は「中学校を卒業した者を対象にした都道府県知事の試験に合格した者に与えられる」(同)とあります。

 

資格試験は都道府県が年に1回行いますが、実地試験もあり記述試験もなかなか手強そうです。クリーニング師は「業務に従事したあと1年以内に、そのあとは3年をこえない期間ごとに都道府県知事の指定した研修を受けなくてはならない」(同)のですが、それ以外のスタッフも「クリーニング所従業員5人に1人以上、クリーニング所の開設後1年以内に業務に関する知識の修得・技術の向上に関する都道府県知事の指定した講習会を受講させなければならない」(同)とされています。

 

クリーニング師の資格試験は学科試験だけでなく、実技試験もあって、けっこう敷居は高い感じです。弊社の社員にも、クリーニング師の資格をとらせました。実技試験は布の種類を触るだけで判断させたり、アイロンを実際にかけさせるなど、なかなかユニークです。とくにアイロンかけは、スイッチの入り切りで温度を調整する昔ながらの電気アイロンで、微妙な温度調整ができるかどうかを判断するようです。

 

今年(2016年)の試験を受けた社員の話によると、同じようにコインランドリーを展開している会社の社員がクリーニング師の資格をとりに来ていたようです。

手堅く・長期的な利益を得る コインランドリービジネス新常識

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鈴木 國夫

幻冬舎メディアコンサルティング

「ローリスク・ハイリターン」な投資先として近年注目を集めるコインランドリー。しかし実際のところ、コインランドリーは本当に儲かるビジネスなのか? 本書では、業界に携わって37年のベテラン社長が、業界の歴史から最近の…

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