今回は、これからもロンドンが世界金融の中心であり続ける理由を見ていきます。※本連載は、「富のスペシャリスト」として知られる株式会社スガシタパートナーズの代表取締役・菅下清廣氏の著書、『第4次産業革命で一人勝ちする日本株』(実務教育出版)の中から一部を抜粋し、世界情勢を読み解くことで日本の株価が今後どう動くかを見ていきます。

企業にとって世界金融街の中心に拠点があるのはプラス

EUの利点を享受しつつ、できるだけ協定を長引かせ、ポンド安のメリットを十分に受け取る。これが英国経済にとっての大きなプラス面です。そのため2〜3年以内にはポンドが再び上昇、貿易収支は改善。イギリスの景気はよくなっていくと予想できます。

 

英国に拠点、本店を持っている外国の金融機関、企業が、拠点を他に移すのではないかという懸念がメディアをはじめとしてささやかれていますが、私はそういう状況はほとんど起こらないと考えています。

 

なぜなら、英国が持っている金融インフラは、他のヨーロッパの主要国にはないからです。世界金融街の中心、シティーに拠点、本店があることは、やはりいろいろな面からプラスなのです。ウォール街とニューヨークの関係も同じです。

ロンドンが築いた社会インフラは簡単に代替できない

国際金融センター指数という指標(Z/YENグループ発行の「グローバル・ファイナンシャル・センター指数(GFCI)」)があります。これによると、2015年にロンドンが首位を奪還し、2016年4月版でも1位。以下、ニューヨーク、シンガポール、香港、東京と続いています。

 

ロンドンには他の都市にはないあらゆる社会インフラがすでに整っています。50年、100年というスパンで培われてきた、ファイナンスシステムに必要な人材、情報、資金という歴史があります。他で簡単に代替できるようなものではないのです。

 

「明日にでもロンドンからパリに本店を移す」というわけにはいかないのです。

 

ただし、もちろんイギリス政府も静観はせずに、たとえば日本の企業に対してはロンドンから逃げ出さないような政策を打ち出してくるはずです。

 

ここでEU全体の今後を総括すると、短期的には未来はちょっと暗いというのが私の予測。さらに悪化するかもしれません。

 

先に触れたようにイタリア発の信用不安が起こる可能性もあります。そうなればギリシャ危機どころではない。世界の金融市場は震撼するはず。しかし大恐慌には至らないでしょう。危機を未然に防ぐために、ECBが支えるからです。

 

日本が協力するかもしれません。日本にも「イタリアの国債を買ってください」というような要請があるかもしれません。

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    本連載は、2016年12月10日刊行の書籍『第4次産業革命で一人勝ちする日本株 』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    第4次産業革命で 一人勝ちする日本株

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    菅下 清廣

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