前回は、実際にベトナムで不動産物件を購入する際に、ぜひとも知っておくべき注意点を解説しました。今回は、今後発展が見込めるホーチミンの不動産開発計画について紹介します。

経済特区としての開発が進む「2区 Thu Thiem地区」

前回は実際に不動産を購入する際の注意点について解説しましたが、今回は、今後の発展が見込めるホーチミンでの開発計画について解説します。

 

➀ホーチミン市2区 Thu Thiem地区再開発計画

 

現在ホーチミンで最も注目されているのが2区、Thu Thiem地区の開発です。

 

Thu Thiem地区は、1区中心街からサイゴン川を挟んだ対岸側で、上海の外灘(ワイタン)をイメージした開発を進めており、ホーチミン市が2003年に再開発計画を発表し、その後、国際コンペも含めながら、海外からの投資も受け入れ、再開発が進められています。

 

経済特区としての開発が進んでおり、総面積は657ヘクタール8区画に区分されています。金融特区、総合競技場、公園等を含んだ地区として計画され、地下鉄METRO2号線も開通が予定され、国内外の大手企業が参加した開発が始まっています。

 

リーマンショック等の影響で計画が遅れていましたが、インフラ整備が進み、主要幹線道路も年内中に完成予定であり、1区中心地より最も近い地区での本格的な開発が動き出した、「最も熱い地区」だといえるでしょう。

 

現在までのインフラ整備進捗状況

 

●Thu Thiem 1橋

2008年開通(ホーチミン市1区隣接のビンタン区~3区画間)

 

●Thu Thiemトンネル

2011年11月開通(ホーチミン市1区~2区画間、サイゴン川をわたる東南アジア最長の沈埋トンネル。長さ1,490m、幅33m)

 

東西幹線道路

2011年開通(ホーチミン市9区~4区画間)

 

●Thu Thiem中心地区幹線道路

4路線(2014年着工2017年完成予定)

 

●Thu Thiem 2橋

2018年開通予定(ホーチミン市1区~1区画間)

 

●Thu Thiem 4橋

2017年着工予定(ホーチミン市7区~8区画間)

 

●Thu Thiem 3橋

計画中(ホーチミン市4区~2区画間)

 

●Thu Thiem 遊歩橋

計画中(ホーチミン市1区~1区画間)

高架橋を含む、6路線の地下鉄工事が計画・着工中

②ホーチミン市都市鉄道計画(地下鉄METRO)

 

現在ホーチミン市では、6路線の地下鉄工事(高架橋含む)が計画・着工中です。工事の詳細は、総延長距離107㎞、路線数6路線、駅数176駅、最高速度80㎞。また、これとは別に、連結する路面電車とモノレールの計画も進められています。

 

その中で現在着工しているのは、METRO1号線と2号線で、METRO1号線は日本が円借款で支援し、2020年の開通を目指しています。

 

1区中心地ベンタイン市場を始発とし、ホーチミン市ビンタイン区を抜け、2区と9区を通り、国道1号線に沿って高架桁の架設が進んでいます。車両の製作は日立製作所です。2020年から日本の車両が走り、ベンタイン市場からビンズオン省の南端までの14駅、20キロ弱を結ぶこととなります。

 

同じく2号線(2区~12区間、高架含む)も進められており、2区Thu Thiem地区から東西に延び、ベンタイン市場を経由したタンソニャット国際空港行きも、2020年の開通を目指しています。3号線から6号線も、順次工事着工して行く計画です。

 

これに関連して、ターミナル駅となるベンタイン市場駅とオペラハウス駅の間には地下街が開発され、駅中、駅地下を併用した商業施設の建築計画が進んでいます。

 

この2つの開発計画だけに関連して動いている不動産開発は多く、2区のThu Thiem地区開発では、すでに国内外の大手企業が大型の開発を計画しており、今後、規模はどうであれ、上海の外灘(ワイタン)のような開発が加速していくことになるでしょう。

 

地下鉄開発にしても、METRO1号線の駅周辺はすでに開発が進んでいます。最も中心地に近い開発では、VINHOMESの「Golden River」プロジェクトがあります。始発駅より3駅目のバソン駅を敷地内に有する開発地区で、25ヘクタールの敷地に商業ビル、商業施設、ホテル、サービスアパート、コンドミニアム、戸建等が立ち並ぶ、ビジネス街としての発展と、ビジネス街に最も近い住居としてのメリットを最大限に生かせる地区です。

 

同じく4駅目と5駅目の間には、VINHOMES「Central Park」プロジェクトがあります。44ヘクタールの敷地内に、ラウンドマーク81(81階建)を含めた商業施設、ホテル、サービスアパート、コンドミニアム、戸建て別荘、国際学校、国際病院、14ヘクタールの公園があり、1万戸を超える住宅が供給されています。2018年までには、住居を含むすべての施設が引き渡され、総合的な住居空間が提供される予定です。プロジェクトの象徴であるラウンドマーク81は、ベトナムで最も高い商業ビルとして位置付けられています。

駅直、駅近の物件価格はまだ「割安」

以上のプロジェクト以外にも、数多くの開発案件が路線周辺で計画実行されており、今後も駅ビルや駅周辺の開発が期待されています。

 

地下鉄開発の点で最も注目すべき点は、現在、ベトナム人の中で電車の利便性を知っている人は少数しかおらず、駅直、駅近の物件に対する利便性に気付いていない人がほとんどだという点です。そのため、物件が割安で流通しています。電車が開通して利便性を知った時の価値がどのくらいになるのか、今から楽しみです。

 

次回は、今後ホーチミン市で開発予定の物件と、現在まで日系企業が関わってきた不動産開発について解説する予定です。

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