銀行業界に激震を走らせた合併の噂

写真:GTACスタッフ

2014年1月、中央銀行より金融業界再編を後押しする政策が打ち出され、スリランカの銀行業界にも大合併時代が到来しました。本連載では、スリランカのさらなる発展にむけて、銀行業界が直面している課題についてお伝えしていきます。

業界再編を巡る銀行と政府の攻防

長い歴史を誇るNDB商業銀行(以下、NDB銀行)の昨今の業績は、その名高さとは裏腹に芳しくない。そのNDB銀行が、ライバルであるセイラン銀行を買収すると噂されている。もしこの買収が現実のものになると、スリランカで3番目に大きい商業銀行が誕生することとなり、穏便であった銀行業界に激震が走るだろう。そして、各行の経営陣はその合併を受け、今後の身の振り方を検討せざるを得ない。

 

銀行業界の体たらくには実に目が余る。各銀行の経営陣は合併の利点を散々口にしてきたにもかかわらず、この自然淘汰の流れに抵抗を示してきた。それでも結局、業界の制度的枠組みに対してのリスクの高まりに向き合う必要が生じたのが現状だ。

 

スリランカの金融政策を決定かつ規制するスリランカ中央銀行は、昨年1月に銀行再編を推奨する政策を発表した。しかし実際には、当時の国による政策こそが業界を悩ます一番の種だったため、その勇気ある一歩を手放しに賞賛することは難しかった。

 

スリランカ中央銀行の金融政策委員会は、政策の策定、銀行やスリランカ最大の年金基金の監督という役目に加え、銀行経営すらも自分達の思い通りにしようとした。横柄なスリランカ中央銀行によるこの圧力は、各銀行の戦略実行を著しく妨げたが、現在では、このような当局によってもたらされる混乱は減っている。

求められる「規模の拡大」

何十年もの間スリランカの銀行は、バランスシートの記載ミスではないかと訝しむ外国の金融機関に対し、残念ながら数字にゼロが抜けているのではなく、単純に規模が小さいだけなのだと、釈明する必要があった。合併の候補となる弱小な銀行は、このような恥ずかしい目に合うだけでなく、数多くのデメリットを抱えることになる。

 

手数料収入が下がるばかりの状況で、事業規模が大きいこと以上のメリットはないだろう。大規模な銀行の方が多角経営に向いており、驚くほどコスト効率も高いため、国境を越えた事業展開も、リスク集中を恐れることなく巨大プロジェクトを融資することも、そして長期貸出も可能なのだ。

 

更に、銀行の経営陣は、株主に莫大な利益を還元する手段として自律的成長(※)のみではあまりにも時間がかかるため、事業規模を追求する必要があることをこれまでにも理解していた。


次回は、セイラン銀行とNDB銀行による合併話がもたらす影響についてお届けします。

 

※自律的成長:
買収・合併分などを除いた既存事業のみによる売上や収益の成長を指す。有機的成長ともいう。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年5月に掲載した記事「NDB’s Rajendra Theagarajah is Aiming to Shake Up Banking」を、翻訳・編集したものです。

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『ECHELON(エシュロン)』は、スリランカの三大ビジネス誌のひとつ。著名な経営者・ビジネスパーソンのインタビュー記事から、同国の金融・経済・投資・不動産などの最新事情、ラグジュアリーなアイテムやライフスタイル等の記事を幅広く掲載。経営者層やハイクラスなビジネスパーソンなど、同国の物的・知的富裕層を多数読者に抱える。(写真はチェアマンのChanna De Silva氏)

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