今回は、災害時には投資運用を「一時停止」すべき理由を見ていきます。※本連載は、英系投資顧問会社SPRING社の取締役で、グローバルマクロ戦略主任である塚口直史氏の著書、『情報を「お金」に換えるシミュレーション思考』(総合法令出版)の中から一部を抜粋し、自然災害・高齢化によって起こり得るリスクストーリーを考え、対策をシミュレーションしていきます。

災害後、為替は大きく円高に振れる可能性が高い!?

大きな自然災害が起きた際、金融市場での運用は一時停止するべきでしょう。大きな動きに振り回されてしまうからです。

 

ただし、為替は災害後、円高に振れる可能性が非常に高いと考えています。保険の支払いの観点から外国資産を売却して円に戻す動きが生保から出るためです。また、9.11のときのように、金融機関が動きを停止するために、円の目詰まりが起きることから、円のニーズに対して過小な供給しか行われないことが円高を引き起こす可能性があります。

未曾有の大災害になると予想される「南海トラフ地震」

今後30年の間で60%以上の確率で起こり得ると言われている南海トラフ地震による被害を、政府は以下のように予想しています。

 

●マグニチュード9.1

●死者・不明者 32万3000人

●全壊全焼建物 238万棟

●南海トラフ大地震による被害総額約220兆円(国家予算の1年分)

 

この空前絶後の被害に匹敵する過去の地震は、関東大震災です。1923年(大正12年)9月1日に起きた関東大震災では、

 

●マグニチュード7.9

●死者・不明者 14万2800人

●全壊建物 12万8000棟

●全焼建物 44万7000棟

●被害総額 60億円(当時の国家予算の約1年4か月分)

 

という大被害をもたらしました。

 

地震後138箇所で起きた火災は、たった2時間で東京市の半分を呑み込みます。結局、この火災による被害が多くの死者と損害をもたらしたのです。被服廠跡地だけで3万8000人の方が亡くなりました。

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