今回は、相続人が1人でも反対すれば成立しない、遺産分割協議の概要について見ていきます。※本連載は、相続専門の弁護士である大竹夏夫氏の著書、『老活弁護士®が教えます!わかりやすい遺言書の書き方』(週刊住宅新聞社)の中から一部を抜粋し、いわゆる「争族」を防ぐための遺言書活用の留意点を見ていきます。

「誰が何を相続するのか」を決めるのが遺産分割協議

相続人が1人であれば、遺産をどのように分けるか話し合う必要はありません。しかし、相続人が2人以上いるときは、遺産をどのように分けるか話し合う必要があります。相続分はあくまで割合でしかないので、いろいろある遺産から誰が何を相続するか決めないといけないのです。

 

たとえば、自宅の土地・建物などの不動産がある場合、その不動産を誰が相続するのかを決めます。預貯金がある場合、口座ごとに誰が相続するか決めます。あるいは、すべての預貯金を解約して合算して、それを相続分どおりに計算して分ける方法もあります。

 

このように、誰が何を相続するのか決めることを「遺産分割協議」といいます。「遺産分割協議」が成立すると、決められたとおりに財産が相続人に移転します。不動産の名義変更をしたり、預貯金の払戻しを受けたりできます。それで相続手続が完了します。

相続の手続には相続人全員の実印と印鑑証明書が必要

この「遺産分割協議」が成立するには、相続人全員の同意が必要です。1人でも反対する相続人がいれば、成立しません。名義変更の手続ができないのです。しかも、不動産の名義変更や、預貯金の名義変更・払戻し、株式などの有価証券の手続など、多くの相続手続には、相続人全員の実印と印鑑証明書が必要です。相続人のうち1人でも、印鑑証明書を出してくれないと、相続手続が進まないのです。

 

 

 

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    本連載は、2016年6月29日刊行の書籍『老活弁護士が教えます!わかりやすい遺言書の書き方』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    老活弁護士®が教えます! わかりやすい遺言書の書き方

    老活弁護士®が教えます! わかりやすい遺言書の書き方

    大竹 夏夫

    週刊住宅新聞社

    「老活」は、「老後に備える準備活動」です。「老活」のなかでも、とても重要なのが「遺言書の作成」です。 自分が残す財産やその他のことを死ぬ前に決めておく。これは実は当たり前のことだと思うのです。 残された人のため…

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