本連載は、毎年多くの簿記検定合格者を輩出する簿記の教室「メイプル」の代表、南伸一氏の著書『オールカラー“ギモン”から逆引き! 決算書の読み方』(西東社)の中から一部を抜粋し、決算書に対するよくある疑問点を題材に、会社の実像を見抜く方法をご紹介します。

日本一大きい会社はやっぱり・・・

Q:「売上高」がすごく多いのはどんな会社だといえるの?

 

 

日本で一番大きな会社はどこだと思いますか? 有名企業を思い浮かべてみてください。NTT、ソフトバンク、ソニー、パナソニックなど、いろいろな会社が出てくるかとは思いますが、正解はトヨタ自動車です!

 

決算書に登場する会社の規模をはかる指標といえば、損益計算書の「売上高」が代表的なものでしょう。加えて本業の儲けをあらわす「営業利益」、会社のもつ総資産といったところがおもなものです。

 

トヨタ自動車は、これらのどれをとっても日本で一番大きい数字が決算書にのっています。売上高でいえば20兆円をはるかに超えており、営業利益は約2兆円超、総資産は50兆円近くにおよびます。総資産50兆円という額は、なんと日本の国家予算である一般会計のほぼ半分に迫るというものすごい数字です。そう考えると、日本一大きな会社がトヨタであるということは揺るぎようのない事実といえます。

売上高、営業利益、純資産…何を基準にすべきか?

では、第2位となると、話しはカンタンではなさそうです。なぜなら、どの金額を基準にするかによって第2位は変わってしまうからです。売上高だけならばホンダ(本田技研工業)、営業利益だとNTT、総資産だと一般的な会社としてはソフトバンクということになります。

 

つまり何を基準にするかによって、順位は異なるわけです。会社員の能力でも、営業成績はAさんが1位だけど、事務処理能力はBさんにかなう奴はいない・・・といったことと同じです。

 

つまり、会社の大きさを判断したいのであれば、先ほどの値を総合的に見て判断するか、あるいは目的に応じた個別の値を基準にします。すなわち、商品をたくさん売っているという意味で大きな会社を知りたければ売上高を指標とし、本業でたくさん稼いでいるかを重視するのであれば営業利益を、資産を持っているかということであれば総資産を指標とすればよいのです。

 

<会社の大きさが判断できる時価総額>

売上高のほかに、株式の時価総額も会社の大きさをはかる際によく用いられる。時価総額は現時点の株価に発行済株式総数をかけた値を指す。

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    本連載は、2016年4月15日刊行の書籍『“ギモン”から逆引き! 決算書の読み方』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    オールカラー "ギモン"から逆引き!  決算書の読み方

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