前回は、不動産管理会社が推奨する「家賃保証」に潜むカラクリを説明しました。今回は、一方的な契約解除もある「家賃保証」の危険なカラクリを見ていきます。

賃料減額の「協議」が整わなければ契約破棄も

前回に引き続き、家賃保証のカラクリを見ていきます。

 

二点目の注意点として、契約内容によっては、管理会社が一方的に契約を解除することが可能ということです。

 

たとえば、賃料減額を言い渡された場合、“協議の上”、オーナーは賃料引き下げの要求を拒否することはできます。とはいえ、「協議が整わない場合、本契約の期間途中であっても、オーナーまたは管理会社は、一定期間ののちに本契約を終了させることができる」という項目により、一方的に契約を破棄されることもありえます。

「家賃減額リスク」の説明責任を果たす業者はわずか

この家賃保証の問題については、国民生活センターでも大きく取り上げられており、賃料引き下げを拒否した家主に対し、契約を解除しただけでなく、入居者全員を近隣の自社物件に転居させるという強硬手段に出た悪質な事業者の存在も明らかになっています。

 

こうした事態を受け、国土交通省も「個人の大家は不動産事業者であり、対等な事業者間の取引には干渉できない」としてきた姿勢を一転。2016年9月、遅ればせながら「家賃減額リスク」などの説明を賃貸住宅管理業者に義務づけるよう制度改正し、2018年7月からは違反業者の公表にも踏み切ることを決定しました。

 

ただし、対象となるのは、同省の任意の登録制度に参加する3735社。全国約3万2000社に及ぶ該当業者の約1割に過ぎません。

 

「オーナー様に代わって賃貸経営をお引き受けします」と言っておきながら、突如として“ハシゴを外す”。そんな悪徳業者を駆逐するには、まだまだ時間を要するであろうというのが、残念ながら今の実態なのです。

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