前回は、長期インターン生の受け入れにかかる「コスト」について説明しました。今回は、インターンシップ導入で活用できる各種機関の「支援制度」を紹介します。

国や自治体による、受け入れ企業のための制度も充実

近年は国や地方自治体もインターンシップを推進しています。文部科学省はインターンシップの好事例を紹介したり、大学や受け入れ企業へのメリットを紹介したガイドを作成するなど、受け入れ企業に対しての門戸を広げています。

 

また、文部科学省大学改革推進等補助金「インターンシップ等を通じた教育強化」といった大学や企業に学生を斡旋するNPO法人などに向けた交付金・補助金を設けることで、インターンシップ市場の活性化を図っています。

 

さらに、独立行政法人の日本学生支援機構などもこうした取り組みの研修会を積極的に行い、商工会議所が主導となってインターンシップの活用を促しています。

 

実際に地方自治体の例を見てみると、福岡県では2015年に「長期インターンシップ推進補助金事業」の募集を実施しました。これは新入社員の早期離職率の低下や地元企業への就職意識アップ、地域経済の活性化を目的とした取り組みで、ETIC.のような学生と企業をつなぐコーディネート機関への補助を行い、インターンシップ制度の有効活用を図るためのものです。

人件費を大幅に抑え、学生を活用できる制度も

そのほか、名古屋大学では文部科学省科学技術人材育成費補助事業「ポストドクター・キャリア開発事業」が採択され、長期インターンシップの支援制度が確立されました。

 

3~6カ月の期間、学生を大学の研究員として企業に派遣します。つまりインターンシップ期間中は名古屋大学の研究員として企業に通い、その期間の給与の大部分は大学からまかなわれます。

 

受け入れ企業としては、人件費を大幅に抑えて学生を活用することができる制度というわけです。そのほか、広島大学が主導して「次世代研究者育成プログラム」を立ち上げ地元企業を中心に2カ月以上の長期インターンシップを実施しています。

 

こうした取り組みは国内のいたるところで行われており、国、地方自治体、大学などあらゆる機関がインターンシップを推進していることが分かります。

 

現在は、たとえば製造業であれば同じ学生でもCADで図面が描ける理系の学生への支援が手厚くなっているなど、支援の質はさまざまですが、これから制度がより成熟していけば、支援はさらに広く、手厚くなっていくはずです。

本連載は、2016年11月12日刊行の書籍『事業拡大を実現する中小企業のための「長期インターン」活用戦略』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

事業拡大を実現する中小企業のための「長期インターン」活用戦略

事業拡大を実現する中小企業のための「長期インターン」活用戦略

佐藤 均

幻冬舎メディアコンサルティング

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