相続・事業承継 相続対策
連載ビルオーナーのための「不動産所有法人」による相続対策【第7回】

円滑な資産移転を実現する「グループ法人税制」の活用法

グループ法人税制組織再編税制

円滑な資産移転を実現する「グループ法人税制」の活用法

前回は「会社法」の創設によって導入された新制度の中から、相続発生時に活用できるものについて説明しました。今回は、多大なメリットを得られる「グループ法人税制」について見ていきます。

グループ法人内の資産移転なら譲渡損益が発生しない

前回は、平成19年の税制改正で大きく見直されたものとして「組織再編税制」があることをご紹介しましたが、平成22年度の税制改正では、さらに「グループ法人税制」が創設されました。

 

以前から導入されていた届出制の「連結納税制度」に加えて、「完全支配関係のあるグループ内の取引や行為からは、その資産がグループ外に売却等されるまで損益は生じない」とする制度です。簡単にいうと、グループ法人内における不動産などの資産の移転に対しては、譲渡損益が発生しないということです。

 

[図表]グループ会社への資産移転

 

この制度を活用することでも、法人化のメリットはさらに増して、その税制上の特典を生かすことができるようになりました。

不動産を「含み益の発生なし」で移動できる画期的制度

グループ法人税制というのは、例えば父親が持っている会社の下に、長男、次男それぞれが100%出資で会社を設立し、グループ企業を形成しておけば、所有している土地建物を「含み益の発生なし」で移動できることになり、相続を円滑に進める際の環境づくりには極めて適した制度といえます。

 

法人間の親子関係だけではなく、個人オーナーを頂点とする兄弟会社間の取引もこの制度の対象となります。例えば、父親が株主となっているA社の資産を、子が株主となっているB社に移す際には、グループ法人税制の創設によって、「完全支配関係がある法人間の譲渡利益額は繰り延べられる」とされています。要するにA社からB社に物件を売却した場合、本来A社では譲渡利益に対して法人税がかかってきますが、これがグループ企業外に売却されるまでは課税が繰り延べされる、ということになります。

 

時価5億円の商業ビルであっても簿価が8000万円だった場合、このグループ法人税制を使えば、簿価の8000万円で父のA社から子どものB社にシフトさせることができ、含み益の4億2000万円にはとりあえずは課税されずにすむことになります。赤字が生じているB社へ収益を生み出す不動産を課税させずに移動することができるわけです。

 

このように会社分割や組織再編税制、グループ法人税制などを駆使して節税することも、法人化することの大きなメリットといえます。都心の一等地に商業ビルを保有しているようなビルオーナーは、すでに法人化している人も多いでしょうが、それを上手に活用できているかどうかのチェックも大切かもしれません。

本連載は、2013年7月29日刊行の書籍『ビルオーナーの相続対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

川合 宏一

マックス総合税理士法人 代表社員 税理士

昭和46年横浜市生まれ。平成10年税理士試験合格。平成11年東京税理士会に税理士登録。都内の不動産所有者を多く扱う会計事務所に勤務した後、東証一部上場の情報通信系ベンチャー企業に社内税理士として勤務。法務部、主計部に在籍。
その後、平成13年に川合総合会計事務所を開業し、独立。平成21年にはマックス総合税理士法人に組織変更して現在に至る。資産家に対し、財産に関するコンサルティング業務や講演を行うなど幅広く活躍している。また、国内外に不動産を所有する投資家でもある。

著者紹介

連載ビルオーナーのための「不動産所有法人」による相続対策

ビルオーナーの相続対策

ビルオーナーの相続対策

川合 宏一

幻冬舎メディアコンサルティング

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