前回は、住宅法改正後約1年半が経過した現在、外国人、外国企業のベトナム不動産の購入条件について、実際の販売実績を踏まえながら検証しました。今回は、実際に不動産物件を購入する際に、ぜひとも知っておくべき注意点を見ていきます。

情報や翻訳文書の正確性には十分な注意を

外国人がベトナムで不動産を購入する際、最も苦労するのが外国人向けの正しい情報が少ないことです。これは単に不動産物件情報だけではなく、不動産に関する法律や税金、税務処理方法、その他許可関連の情報開示も含みます

 

そのため購入者は、購入前にインターネットでの情報収集やコンサル会社のセミナー、現地販売代理店、会計事務所、弁護士事務所などからの情報を受けて購入を決める人が多いと思います。ただ問題は、その情報が本当に正しいかどうかを確認する必要があることです。残念ながら改正住宅法施行後間もないこともあり、不適正な情報も市場に拡散します。

 

海外での購入になるので、まずはその国の法律に則り、適正に購入していくことが必要になります。弊社の場合、法律の専門家をスタッフとして雇用しているので、法律に則り、まずは外国人向け、ベトナム人向け両方で実例があったかどうかを確認します。その後、実例を基に各機関の決定権者から確認を取るようにしています。実例がない場合でも、同じように各機関の決定権者に確認を取ります。そこまでしないとお客様に紹介はできません。

 

もうひとつ注意すべきことに、翻訳の誤解があります。ベトナムに進出する企業、もしくは外国人が必ず陥る問題です。ベトナム語はあいまいな表現も多く、それをそのまま英語や日本語翻訳に置き換えてしまうと、正しい意味が伝わっていない場合も多く、トラブルのもとになります。日常の生活では、多少の解釈違いでもそれほど問題になりませんが、これがビジネスでの契約事や不動産の購入になれば、金額的にも大問題です。

 

長年現地企業相手に事業を継続している企業は、ベトナム語を英語や日本語に翻訳した内容では解釈しません。翻訳は参考程度にして、ベトナム語を主体で考え、ベトナム語から解釈していきます。時間はかかりますが、ビジネスを円滑に進めて行くにはとても大切なことなのです。

不動産の販売方法はベトナム人に有利なものだが…

ベトナムでの不動産購入は、ベトナム人は有利な条件で購入できます。これも改正住宅法の問題ですが、外国人が購入できる戸数の条件が1棟につき最大30%、戸建て住宅は1街区につき最大250戸と制限されているため、購入権利が70%以上を占めるベトナム人を中心に販売展開されています。

 

現在までの実情をあげると、開発会社の販売開始発表は前日の金曜日夕方に発表されることが多く、ベトナムの場合、発売開始時にデポジットとして指定の金額を入金しないと物件が抑えられない規定があり、週末の発表なので外国人(特に海外にいる外国人)は銀行からの送金対応ができず、条件の良い物件を抑える事が難しい状況になります。どうしても良い条件の物件を購入したい場合は、常にデポジットを現金で用意し、いつ発表があっても即座に押えられる状態を作っておかなければなりません。

 

もうひとつ、正式の販売代理店は事前に販売予定日の情報を入手していることが多いため、事前に準備して、発売前にお客様に紹介することが可能です。あとは販売物件の割引セールや、お得物件の情報、複数購入時の割引、早割購入など、色々な特典を事前に利用することができます。事前に正規の販売代理店に依頼しておけば、ベトナム人に近い条件で購入することも可能となります。

賃貸業務をする場合は、法的な手続きも確実に

改正住宅法では、購入したコンドミニアムや住宅は賃貸業務を行う事が可能です。

 

賃貸については所管の行政機関に申請し、許可を受ければ賃貸可能になります。その際、税務登録申請も行い、税コードとレットインボイス(政府発行領収書)の発行手続きを行い、ベトナムの税法に従いながら会計処理を適正に行って税金を納めたあと、問題が無ければ海外に送金する事が可能です。

 

この手続きを行っていないと、賃貸許可を受けずに収益を上げていたことで違反となり、厳しい罰則をうけます。さらには収入の証明がないため、外国に送金ができないばかりか、現金の差押えや罰則・罰金を受けます。くれぐれもご注意ください。

 

改正住宅法施工から1年半、まだまだ外国人によるベトナムの不動産購入には矛盾点も多く、今後、法整備の調整が必要になってくると思いますが、ベトナム語の翻訳による解釈の違いなどで、できることができないと解釈されるケースや、逆に、できないことをできると解釈されているケースなど、今後の大きな問題になる可能性があります。

 

ベトナムは「交渉の国」です。しっかり交渉ができれば、有利に進める事が可能です。そのためにも、現地側と直接交渉ができる業者を見つけることが重要になります。

 

次回は、今後発展が見込めるホーチミンでの開発計画について解説します。

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