老親の資産を守る…成年後見の「補助」の概要と申請書類

今回は、「補助」という制度の概要と、その申請方法を解説します。※本連載は、山口明弁護士、田中貴一弁護士、高松志直弁護士の共著書籍、『民事信託活用の実務と書式  事業承継、財産管理、事業展開における積極的活用』(日本評論社)の中から一部を抜粋し、事業承継、高齢者の財産管理および新たな事業展開に信託を利用した場合のメリットと、申請時に使用する信託の文書書式の例を紹介します。

「補助」の利用は、必要性や本人の意向等を考慮して検討

前回の続きです。

 

⑷補助

 

ア.申立て

 

本人が「精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分」な場合には、補助を利用することができます(民法15条1項)。具体的には、補助開始申立書(申立書の書式については、下記資料を参照)に必要事項を記載した上、家庭裁判所に補助開始を申し立てることになります。

 

[資料]補助開始申立書

 

 
あああ
http://www.courts.go.jp/vcms_lf/03m-hozyo.pdfより抜粋

 

申立ての流れとしては基本的には成年後見や保佐と同様ですが、補助は、本人の事理弁識能力がそれほど衰えていないケースで利用される制度となりますので、制度利用の必要性や本人の意向等を考慮しつつ、補助を利用するかどうかを検討することになります。

 

補助開始審判申立書における申立ての理由については、本人の判断能力が著しく不十分であることに関する事情(必要のない高額の呉服を何枚も購入している等)や申立てに至った動機(10万円以上の商品を購入することについての同意権を取得し、必要のない契約を取り消したい等)を具体的に記載することになります。

「同意権・取消権・代理権」を持つ「補助人」

イ.補助が開始された場合

補助が開始された場合、補助人には、個別の行為に関し、同意権、取消権及び代理権が与えられます。そして、被補助人は、同意が必要となる行為について自由に意思決定することができません。補助人の同意権については、「家庭裁判所は、……被補助人が特定の法律行為をするにはその補助人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる」(民法17条1項本文)とされていますので、今回のように重要な事業用財産の処分を防止したい場合においては、この同意の審判を取得することになります。

 

[図表1]法定後見制度の概要

法務省「成年後見制度〜成年後見登記制度〜」(http://www.moj.go.jp/MINJI/minji17. html)より抜粋。
法務省「成年後見制度〜成年後見登記制度〜」(http://www.moj.go.jp/MINJI/minji17.html)より抜粋
 

増加傾向にある成年後見関係事件

⑴用語の説明

 

成年被後見人・・・後見開始の審判を受けた者をいいます。
成年後見人・・・・成年被後見人を監督する者をいいます。
被保佐人・・・・・保佐開始の審判を受けた者をいいます。
保佐人・・・・・・被保佐人を監督する者をいいます。
被補助人・・・・・補助開始の審判を受けた者をいいます。
補助人・・・・・・被補助人を監督する者をいいます。

 

⑵派生問題

 

平成24年1月から12月までの1年間における成年後見関係事件(後見開始、保佐開始、補助開始および任意後見監督人選任事件)の申立件数は合計で3万4689件(前年は3万1402件)であり、対前年比約10.5%の比率で増加しています。そのうち、後見開始の審判の申立件数は2万8472件となっており、特に、成年後見が積極的に利用されています。

 

また、平成24年12月末日時点における、成年後見制度(成年後見・保佐・補助・任意後見)の利用者数は合計で16万6289人となっています(以上、すべて最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概況平成24年1月〜12月」)。

本連載は、2015年7月25日刊行の書籍『民事信託活用の実務と書式  事業承継、財産管理、事業展開における積極的活用』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

日本橋中央法律事務所 弁護士

2005年弁護士登録、東京弁護士会所属。2005年から2011年に片岡総合法律事務所、2011年から2016年に野田総合法律事務所(パートナー弁護士)を経て、2016年に日本橋中央法律事務所を開設して現在に至る。特に、金融に関わる法務、不動産に関わる法務及び信託に関わる法務を得意にしている。

著者紹介

片岡総合法律事務所 弁護士

2007年弁護士登録、東京弁護士会所属。2013年から東京弁護士会金融取引法部事務局長。信託銀行、銀行、証券会社、クレジット会社、貸金業者などからの法律相談業務、各種紛争・訴訟への対応業務のほか、相続案件をはじめとする一般民事事件も手掛ける。

著者紹介

片岡総合法律事務所 弁護士

金融機関、信託、流動化取引等の金融法務を中心とする企業法務全般のほか、決済法務(クレジット・電子マネー・送金取引等)、情報関連法務(個人情報・マイナンバー)を手がけている。

著者紹介

連載民事信託を活用した後見人制度の使い方…実務と書式

民事信託活用の実務と書式 事業承継、財産管理、事業展開における積極的活用

民事信託活用の実務と書式 事業承継、財産管理、事業展開における積極的活用

山口 明,田中 貴一,高松 志直

日本評論社

個人事業者等が民事信託を用いて事業承継や高齢者の財産管理、あるいは新たな事業展開を行う場合の利点や留意点を事例に則して解説。 [目次] 序 章 甲野家が抱える課題と展望 第1章 事業承継  第1節 相続におけ…

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧