なぜ米国では「中古不動産市場」が隆盛を極めるのか?

どんどん住む場所を替えていく米国人のライフスタイルには、新築よりも中古物件が合うのかもしれません。今回は、世界一の規模を誇るアメリカの中古不動産市場の流動性の高さについて見ていきます。

中古物件でも高い流動性も持つ米国不動産市場

米国は日本と違い、新築物件よりもむしろ中古物件のほうが活発に取引されています。実際、どの程度の取引が行われているのかということですが、これは「中古住宅販売件数」を見ればわかります。それによると年間で600万件程度が取引されています。

 

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この件数がいかに多いのか、ということについては、同じく米国の新築住宅販売件数と比較すれば分かるでしょう。大体年間の平均で140万件程度です。つまり、米国では新築の販売件数に対して、中古住宅の販売件数は4倍以上にもなるのです。

 

一方、日本の場合はどうなのでしょうか。日本の場合、新設住宅着工件数で見ると、年間の平均値で120万戸前後です。そして中古の販売になると、わずか15万戸しかありません。何と8分の1程度です。

 

どうしてこれだけの差が生じてしまうのでしょうか。これは住むところに対する考え方の違いが大きいと思います。

 

日本の場合、一度住む場所を決めたら、とことん、そこに住み続ける定住型が一般的です。家は一生に一度の大きな買い物です。

 

これに対して米国の場合は、1軒の家に生涯住み続ける人は、むしろ少数です。その時々の家族構成や状況によって、どんどん住む場所を変えていきます。したがって、新築物件よりもすぐに手に入る中古物件のほうが、米国人のライフスタイルに合うというわけです。

 

新築物件と中古物件に対する考え方の違いは、不動産価格にも影響を及ぼします。

 

日本の不動産価格は、新築の時が最も高く、たとえ1日だけでも誰かが住めば、その時点で中古物件になり、不動産価格が大幅に下落します。実際、中古物件になった途端、新築物件に対して無条件で3~4割は不動産価格が下落するとまでいわれています。

 

一番損をするのは、言うまでもないと思いますが、新築物件を購入した人です。何しろ買ってすぐに3~4割も資産価値が目減りしてしまうのですから。そのため日本における不動産は売買する対象ではなく、仮に引っ越すとしても、物件を保有したまま賃貸に回すしかなく、結果、流動性が低くならざるを得ないのです。

 

これに対して米国の不動産市場は、中古物件でも非常に高い流動性を持っています。これは、米国不動産の価値判断基準が、日本のそれとは大きく異なるからです。

米国不動産の価値は「築年数」とはあまり関係ない

日本の場合、中古物件よりも新築物件の価値が高くなるとともに、中古物件でも築年数が少なくなるほど、価値が高くなります。要するに、新しければ新しいほど価値があるのです。

 

これに対して米国不動産の場合、築年数で価値が決まるわけではありません。

 

最も重要視されるのは、家が建てられている場所です。たとえば、この通りは7000万円の物件があるところ、この通りは3000万円の物件があるところ、というように、どの地域の、どの通りに面しているかによって、不動産価格が決まってくるのです。

 

したがって、7000万円の物件がある通りに面した物件は、他の家もおおむね7000万円前後の不動産価格で取引されます。7000万円の物件が並んでいる通りに、3000万円の物件があるということは、まずあり得ないのです。そして、ここでは築年数など、ほとんど関係ありません。

 

たとえば、ある人が仕事を失って、自宅を手放したとしましょう。この物件は7000万円の通りに面した物件です。それにもかかわらず、仮に「非常に古い」という理由でこの物件が3000万円で売りに出されていたら、私たち不動産会社の人間は、たとえその物件が1920年代に建てられたものだとしても、間違いなく3000万円を出して購入するでしょう。

 

3000万円で購入し、2000万円をかけてリフォームしたとしても、7000万円で売りに出すことができるからです。7000万円で売れれば、2000万円の利益が得られます。

 

仮に不動産会社が、購入した物件を壊して更地にし、そこに新築物件を建てたとしても、数十年以上も前に建てられた中古物件との価格差は、ほとんどありません。

 

新築のプレミアムが全くないというわけではありませんが、仮にプレミアムがついたとしても、中古物件との価格差はほとんどありませんし、価格差があったとしても、2~3年もすれば小さなプレミアムなど簡単に修正されてしまいます。

 

逆に、2000万円の物件が並んでいる通りに5000万円の物件を建てたとしても、それは2000万円の価値にしかなりません。それだけ、不動産が建てられている場所が、米国における不動産の価値を大きく左右するのです。

 

日本では、不動産の価値決定に築年数が大きく影響します。たとえば、築30年が経過した木造建築などは、建物部分の価値は低い傾向にあり、資産としての価値はほとんど土地だけ、というケースもあり得ます。

 

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逆に米国では、「バリューアップ」といって、古い建物だとしても、住んでいる人がきちんと手をかけてきれいに使っているような家は、むしろ価値が上がっていきます。こういう物件は、売りに出した時、簡単に買い手が見つかります。

 

このように、築年数とは関係のないところで不動産の価値が決まるので、なおさら米国の不動産市場は、中古物件を中心として高い流動性を維持しているのです。

本連載は、2014年10月3日刊行の書籍『本命 米国不動産投資』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は著者の個人的な見解を示したものであり、著者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、出版社、著者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

リーバンズコーポレーション 会長

1953年生まれ。米国在住35年。カリフォルニア州を拠点に保険・証券・不動産・ファイナンシャルアドバイザーとしてキャリアを積み、2002年、ロサンゼルス郊外のトーランスにリーバンズコーポレーションを設立。豊富な不動産の販売・仲介・管理実績を持ち、米国居住者以外の信託活用法など、不動産保有にかかる関連アドバイスにも強みがある。

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