前回は、投資の経験則が通用しない「大荒れの相場」について説明しました。今回は、税金対策が「もっとも効率のよい投資」だと言える理由を見ていきます。

資産家であれば不可欠な「所得税対策・相続税対策」

「資産防衛のトライアングル」では、税金対策も重要です。資産家の税金対策は大きく分けて2つあります。ひとつは所得税対策、もうひとつは相続税対策です。

 

所得税対策の基本は、本業で生み出されるキャッシュをすべてご自分の所得として受け取るのではなく、一部を配偶者やお子さんに分散させる、もしくは税率の安い法人に所得を移管するということです。

 

所得税は累進課税であり、所得が増えるほど適用される税率が高くなります。個人で何千万円も給与を取っている方は、場合によっては適用される所得税率が最高の45%になってしまいます。住民税10%と合わせると最高55%になり、実に所得の半分以上が税金として持っていかれます。

 

また、給与所得については、必要経費の代わりに認められている給与所得控除の上限額とその適用収入の額が順次、引き下げられており、平成29年からは上限額220万円、適用収入1000万円となります。実質的には増税です。

 

これからの時代、高い役員報酬を取るメリットというのは実はありません。

 

そこでたとえば、ご本人が5000万円の役員報酬を取っている場合、奥様も役員にして半分ずつ2500万円の役員報酬としたり、あるいは他に関連会社を設立してお子さんをそこの役員にし、そちらにも報酬を支払ったりします。

 

また、日本企業の国際競争力を高めることなどを目的に、法人税の税率は引き下げられつつあり、個人の所得税と法人の法人税は、どんどん税率差が開く傾向にあります。

 

10%の住民税と、45%の税率で所得税を払っている方が、所得の一部を会社の利益として残し、法人税の約30%で済むようにすれば、約25%分だけ税負担が減り、キャッシュが手元に残ります。

 

【図表】所得税税率の速算表

経費を適切に使うことが、法人税対策の王道

繰り返しになりますが、個人の所得にかかる所得税は、所得が増えるほど税率が上がる超過累進税率の制度を採っており、最高税率は住民税と合わせて55%となります。

 

一方、法人税の実効税率は一律約30%で、一定以上の所得が出ている場合には、収入は法人に集めるようにするのが有利です。

 

法人税対策としては、適切に経費を使うのが王道です。

 

たとえば、経営者が退職する際に支払う退職金も経費にあたります。受け取る個人にとっては退職所得になりますが、これは配当所得、利子所得、譲渡所得など様々な所得区分があるなかで、いちばん所得税の負担が低いもののひとつです。

 

そこで、経営者の給与を減らして、法人が退職金として準備するのもいいでしょう。あるいは、生命保険を使って保険料を経費としながら退職金を準備するというのも実践的な法人税対策です。

 

利益が出ている企業の場合は、複数の法人を使うことによって所得を分配するということで、合法的な法人税対策を取ることができます。

 

ただし、退職金に関しては後になって税務署から否認されるケースも散見されるため、税理士など専門家によく事前に相談することが必要です。

本連載は、2016年5月25日刊行の書籍『資産防衛の新常識』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

資産防衛の新常識

資産防衛の新常識

江幡 吉昭

幻冬舎メディアコンサルティング

相続税の増税、マイナンバー制度や出国税の導入など、資産家を取り巻く状況が年々厳しさを増していくなか、銀行や証券会社が販売手数料を目当てに、「資産防衛のサポート」と称して富裕層に群がっている現状…。資産家が金融営…

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