前回は、投資で成功するための「相場」の見極め方を説明しました。今回は、投資の経験則が通用しない「大荒れの相場」について見ていきます。

長い好調相場で「象徴的な高値」に到達すると・・・

ただ、ひとつだけ注意していただきたいのは、だいたい10年に一度は、前回の連載で言ったような経験則が通用しない大荒れの相場が来るということです。

 

新聞やニュースで連日、大きく報道されていても、全くもって相場が下げ止まらないといったことがときに起こります。それが2008年9月のリーマンショックであり、2000年12月のITバブルの崩壊でした。こうした経験則が通用しない状況が来たら、慎重に行動しなければなりません。

 

そういった、8年から10年に1回の間隔でやってくる極端な大荒れ相場を見分けるコツのひとつは、「山高ければ谷深し」、ということです。好調な相場が長く続き、何かしら象徴的な高値にまで到達した場合、その後に非常に大きな揺り戻しが来る可能性があります。

 

たとえば2008年のリーマンショックの前にはユーロが170円手前まで上がり、その後111円まで大暴落しました。同様に豪ドル/円も、2007年10月に107円まで上がり、それからだいたい1年かけて、半分の54円まで下がりました。

 

とても象徴的な高値があった場合は、法則が通用しない大きな下落相場があると考えられます。その点に注意して運用していかなければなりません。

 

金も、1900ドルのときには5000ドルになるとまことしやかに言われ、ユーロも170円手前のときには、ユーロ200円説が出たものでした。日本株も同様に、突拍子もない数字まで相場が行くと言われ出すと、もう終わりです。

満足できる資産があれば、リスクを負う必要はない

資産運用では、「運用しない贅沢」もあります。

 

資産規模が数億円で満足するのか、10億円以上なのか、数十億円なのか、というところは人によってそれぞれです。しかし、自分の中である程度まとまった資産ができたと考える方は、無理に株式や投資信託を買う必要はないかもしれません。

 

その代わり、たとえば2〜3%ほどの金利があり格付けの高い債券で安定的に運用するのです。そうすれば、年間2〜3%しか増えませんが、元本が2億円あれば毎年400万〜600万円の利子は入ってきます。

 

それで満足できるのであれば、それ以上のリスクを背負う必要はありません。あるいは、手数料が安いので証券会社では積極的に販売されていませんが、米国債もおすすめです。

 

そういったもので運用することで、わざわざ高いリスクを取らずに安定的な運用というものを選択肢に入れてもよいのではないでしょうか。もちろん、まだまだお金を増やしたい、本業以外で稼ぎたいという方は、もう少しリスクの高い運用方法を選択すればよいのです。

本連載は、2016年5月25日刊行の書籍『資産防衛の新常識』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

資産防衛の新常識

資産防衛の新常識

江幡 吉昭

幻冬舎メディアコンサルティング

相続税の増税、マイナンバー制度や出国税の導入など、資産家を取り巻く状況が年々厳しさを増していくなか、銀行や証券会社が販売手数料を目当てに、「資産防衛のサポート」と称して富裕層に群がっている現状…。資産家が金融営…

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