前回は、土壌汚染などの心配も少ないという「ウレタン樹脂」の安全性について見てみました。今回は、床に重い荷物が載っている状態での施工についてお伝えします。

紙製品の物流倉庫での施工例

Q床の上に重い荷物などがあっても、その荷物ごと持ち上がるのですか?

 

はい、持ち上がります。

 

こんなことがありました。紙製品の物流会社の倉庫を施工した時のことです。

 

紙というのは、私たちの生活の中で見る分には「軽いもの」の代表のようなイメージがありますが、流通過程でのロールや束の状態では、非常に重いものなのです。この倉庫でも、ロールを重ねてある場所では、1平方メートル当たり6〜8トンの荷重がかかっている状態でした。

 

沈下の“症状”としては、およそ300平方メートルの範囲で、最大沈下量が40ミリ。沈下で床が斜めになっているため、傾斜がきつい箇所では、縦置きしている紙のロールが傾き、下段のロールに不均一に重さがかかります。そのため、場合によっては下段のロールが潰れてシワがより、出荷できない不良品になってしまうことさえあったそうです。

結露しなくなったという副次的な効果も

修正施工時、お客様は「事前にロールをどかしましょうか?」とおっしゃってくださったのですが、お断りして6〜8トンある荷重ごと床を上げることにしました。

 

その荷物の重さゆえです。その荷重を取り去って施工を行えば簡単に床は上がるでしょうが、再び荷物を置いた時、再沈下を起こすリスクが多少あるのです。

 

一方、逆に床に大きな荷重がかかったままだと、ウレタン樹脂を注入してもなかなか床面が上がりにくいのは確かなのですが、その分、再沈下のリスクは減ります。

 

実際の施工では、荷重がかかったままでも無事に床を上げることができました。

 

また、以前は床に近い一番下の紙のロールの端が結露で湿気てしまうことが時折あったのですが、施工後は樹脂が断熱材の役割も果たすようになって、結露しなくなったという副次的な効果もあったとうかがっています。

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