ありきたりな差別化では収益が出ない時代の活路とは?

従来の差別化戦略で入居者を集める方法にも限界が出てきました。今回から3回にわたって、マンションの価値を上げるポイントについて見ていきます。

ペット可やバイク可・・・流行の差別化はすでに陳腐化

最近では、他の物件との差別化で入居者を獲得しようとするオーナーも少なくありません。こう聞くと、「デザイナーズマンション、ペット可マンション、バイク可マンション・・・」などをイメージされる方もいるでしょう。

 

しかし、残念ながら、それらの差別化はすでに陳腐となっています。もっと正確にいうなら、それらの差別化では、多少の注目をひくことはできても、収益につなげることは困難です。

 

以前、筆者自身もバイクを部屋の中に置けるマンションに興味を持ち、コストとリターンの関係を調べてみたことがありました。

 

好きなバイクをリビングルームから眺められるという、バイク好きにはたまらない企画でした。しかし、バイクを居室内に置けるという価値の実現のためには、当然居室面積を広げる必要があります。一方、あとで説明しますが、家賃には限界があり、居室面積を広げたからといって、その分家賃を高く設定できるわけでもありません。

 

そのため、バイクマンションでは、むしろ㎡賃料(1㎡の広さから得られる賃料)効率が下がってしまうのです。それがわかったため、バイクマンションをやる意味が、私には見いだせませんでした。

 

また、ペット可物件は、もはや差別化でなくなりつつあります。どういう意味かというと、建物の構造や設備が従来どおりでも、普通のマンションのルールを「ペット可」に変えるだけで簡単に参入できてしまうため、同じような物件が増え、価値が失われてしまうのです。

 

デザイン性の高さは、入居者に選ばれるためには確かに効果的です。しかし、デザインだけで賃料を押し上げるにはパワー不足です。

 

確かに昔は、デザインで家賃をアップできた時代もありました。十数年前、感度の高い若者に読まれている雑誌で、建築家特集が人気となり、頻繁にページを割いていたことがありました。その頃は、使い勝手はよくないけれど、デザインが個性的で、その少し前に流行したトレンディドラマの記憶を再生できるようなちょっと刺激的な部屋たち、にお客さんが殺到していました。世間にお金が回っていたこともあり、当時はデザインに価値を見いだせていたのです。

 

以前、筆者たちも著名な建築家と組んで、デザインを重視したマンションを建てたことがあります。当時はデザイナーズマンションという言葉がなかったため、「建築家シリーズ」と名前をつけていました。

格好よさより住み心地のよさが重視される時代に

しかし、筆者はその当時から、デザインだけでは次第に陳腐化することを予想していました。そして、その予想は的中しました。

 

今、ひと昔前のデザイナーズマンションには当時のような勢いでお客様がつきません。当時のデザイナーズマンションは、デザインを優先しすぎて、住み心地に多少の不便が伴うものがあり、年々、選ばれにくくなっています。筆者も、「格好いいから使い勝手が悪くてもいい」という考え方は、最悪だと思っています。

 

これまで、筆者たちも建築家を使った建物を何棟も手がけてきました。そしてわかったことは、建築家のデザインを求める層と、求めない層の両方があるということです。格好を重視する人たちは、筆者たちが考えるほど多くないのかもしれません。

 

今は、「自然だけど、素敵できれいで、余分なものがない空間に身を置くことが気持ちがいい」という建物のデザインに人気が集まっています。たとえるなら、人前で奇抜な格好をして金髪を立てている人が、いつまでもそれを続けることに無理を感じて、自然体に戻ってきたという雰囲気です。

 

ただし、人気の自然体のデザインを取り入れたからといって、賃料をアップさせることはできません。現代のマンション経営では、デザインはよくて当たり前となってきているからです。

 

差別化マンションと銘打ったマンションが増えた今、人々は、ありきたりの差別化にはお金を払わなくなっています。普通のマンションは問題外、さらにデザイナーズマンションやバイク可、ペット可などの差別化物件でも収益にはつながらないとなると、今後のマンション経営はどこに活路を見いだせばいいのでしょう?

 

筆者の考えるその答えを、次回から紹介していきたいと思います。

本連載は、2011年2月28日刊行の書籍『近隣物件よりも高い賃料で長く儲ける満室賃貸革命』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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連載近隣物件よりも高い賃料で長く儲けるマンション経営術

株式会社リブラン 代表取締役

1967年、東京生まれ。株式会社大京にて分譲マンション事業用地の仕入を担当。その後、1992年、株式会社リブランへ入社し、2002年、同社代表取締役に就任する。マーケットシェアを奪い合う分譲マンション業界で、同業他社とは同じ土俵で勝負しない経営スタイルを堅持。24時間、音楽漬けを可能とするマンション「ミュージション」の分譲、賃貸事業を行い、新たなマーケットの創造を行う。

著者紹介

満室賃貸革命

満室賃貸革命

鈴木 雄二

幻冬舎メディアコンサルティング

今後50年余りで、日本の人口は約9000万人にまで減少すると予想されています。これは、現在の人口から約3割もの人がいなくなる計算です。そのような将来が予想される中、今でも賃貸マンションは次々と建ち続け、オーナーさんは…

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