似て非なるもの!? 不動産登記における「地図」と「公図」の違い

今回は、不動産登記における「地図」と「公図」の違いについてお伝えします。※本連載は、山本芳治氏の著書『増補改訂版 公図・不動産登記簿の読み方・調べ方』(ビジネス教育出版社)の中から一部を抜粋し、不動産登記簿と公図の調査方法をご紹介します。

都市部の登記所には、ほとんど備わっていない「地図」

「地図」についての閲覧の申請の仕方と地図の見方についても、ここで説明しておきます。


◆地図と公図はどう違うのか


「地図」という名前より「公図」という名前のほうが皆さんには馴染みがあるかもしれませんが、地図と公図とは違います。


最初に、不動産登記と地図の関係を見てみましょう。たとえば、みなさんが土地を購入しようとするときとか、不動産業者の方が土地の売買を仲介しようとするとき、また金融機関で融資をしようとするとき、このようなときにはその土地の権利関係について当然調べます。しかし土地の登記簿には、一筆の土地ごとに後でくわしく見るように、その所在、地番、地目、地積等が記載されていますが、それだけではその土地の位置や区画とか隣地との関係はよくわかりません。こんなとき、登記所に備えつけられている地図を見ればわかります。地図は土地の区画と地番を書きこみ、一筆の土地、または何筆かをまとめ一枚の地図にします。つまり地図は登記簿と一体となって、その土地を特定しているのです。さて、ひとことで地図といっても、地図に関するものはいくつかあります。一つずつ見ていきましょう。


◆地図とは


普通、地図といえば実務では「公図」のことをさすことが多いようですが正しくありません。


不動産登記法上「地図」というときは、旧法の馴染みの用語として「法17条地図」と呼んでいたものです。新法では、単に「地図」とよびます(14条)。欄外には「これは地図の写しである」とあり、登記官の職印が押されています。


この「地図」の作成は、国土地理院が決めている国家基準点(三角点)を基準として測量法に基づき境界を測量したものです。


このような地図ですから、もし土地の現状が変わったとしても、境界を復元することができます。しかし実際にはこの「地図」を備えている登記所は、全国的に見てもまだまだ少なく、特に都市部では、ほとんどすすんでいません。これは、このような精度の高い地図をすべての土地について整備するためには多額の費用を必要とし、また権利者など関係者の協力を得なければならないためです。しかし、順次その整備は図られています。具体的には、国土調査法に基づく地積調査によって作成された地積図、土地改良事業、土地区画整理事業等によって作製された土地の所在図などを活用して、登記所で地図作製作業を行っています。

 

【図表1 地図写】

精度が不十分で実状と一致しないものもある「公図」

◆公図とは


次に公図ですが、これは皆さんも聞き慣れた言葉だと思いますし、よくみられているでしょう。


実は、地図がない登記所には公図があります。公図は、もともと税金の徴収を主な目的として作られた旧土地台帳の附属地図のことです。昔は土地台帳といっしょに税務署に租税徴収のための資料として保管されていたものですが、昭和25年に台帳事務が登記所に移されたことに伴って、土地台帳とともに登記所に引き継がれたものです。


この公図は、明治6年から14年までの間に行われた地租改正事業の際に作られた地図を基本としたものです。測量技術も未熟で、その後土地の異動などに伴い修正も加えられてはきていますが、精度は十分でなく現地と完全に符合しないものもあること、したがって公図を無条件に信頼するわけにはいかないことも知っておいてください。


不動産の取引や融資の担保にとるときなどは、直接現地に出向いて確認することが大切なことはいうまでもありません。しかし、地図がすべての登記所に備わっているわけではない現状では、公図が登記された土地のおよその位置、形状地番を知る唯一の公的な資料といえます。


なお、平成10年4月1日からそれまで無料であった公図の閲覧には1枚500円の手数料が必要となり、他の手数料と同じく収入印紙で納めることとなりました。これは公図の整備経費に充てるためと法務省では説明しています。また、地図が備えられていない地域については、公図が「地図に準ずる図面」として備えられることに法律上も明確にされています(14条4項)。


その公開方法は、従来、公図、地積測量図、建物図面その他の登記簿の附属書類である図面については、閲覧の方法に限られていましたが、平成13年4月1日からは、これらの図面についても写しの交付も請求できるようになりました。郵送による送付依頼もできます。地図に準ずる図面(公図)の閲覧は1枚500円、地図に準ずる図面の写し(下記図表2参照)の交付は1筆500円です。

 

【図表2 地図に準ずる図面(公図)の写し】

 

地図・公図の閲覧も不動産登記簿と基本的に同じ流れ

◆地図・公図の閲覧申請書の書き方


地図や公図を閲覧申請するときの流れは、不動産登記簿の閲覧のときと基本的には変わっていません。


地図も公図も収入印紙を貼って閲覧の申請をすることになります。地図番号を記入するところには、閲覧したい土地の地図番号を記載します。公図のときは公図番号となります。

 

◆公図番号の探し方


二つの方法があります。


第一には登記所に備えられている「地図索引票」によって調べます。もう一つは、前に説明した「地番、公図番号付の住宅地図」が登記所に置いてありますから、これを見て、該当する地図番号を書きます。


登記簿の閲覧と同じく、受付箱に入れておくと順番で呼ばれますので、呼ばれたら閲覧室に入ってください。


実務では、その公図を閲覧するというより自分でコピーをしてとることができるようになっていますので、コピー代50円を負担してコピーをしています。登記所にコピー機が設置されています。また登記所でも「写しまちがいがあるといけないので、コピーをとるほうがよい」とアドバイスしています。


もっともコピーのきかない古い公図等は、公図を謄写することになります。また、前述のように、写しの交付も請求することができます。

 

【図表3 地図・地積測量図等の証明書・閲覧請求書】

 

注:1枚500円
注:1枚500円

 

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連載今日から使える公図・不動産登記簿の調べ方・読み方

登記と金融実務研究会 代表・不動産コンサルタント

1958年、信州大学卒業。1993年、芝信用金庫に35年間勤務の後定年退職。現在、登記と金融実務研究会代表・不動産コンサルタント。金融法学会会員。

著者紹介

増補改訂版 公図・不動産登記簿の 読み方・調べ方

増補改訂版 公図・不動産登記簿の 読み方・調べ方

山本 芳治

ビジネス教育出版社

契約書および登記申請書からの読み取り方。手続法である不動産登記法だけでなく実体法である民法の学習にも役立つ。

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