前回は不動産を個人所有・法人所有としたそれぞれのケースについての相続税額を検証しました。今回は、子どもに資産譲渡した後に残った現金を圧縮する方法について解説します。

子どもへの資産譲渡後も、まだ節税対策は残っている

子どもが設立した法人に資産の譲渡などをした場合、相続までにしておきたいことは、親の手元に残った現金の圧縮です。最もベストなのは相続物件を「売却」して得た現金で、子どもや孫に積極的に「生前贈与」していくことです。

 

その際に注意したいのは、毎年110万円の基礎控除での範囲内での生前贈与を行うことの他にも、贈与税と相続税の税率の違いを利用して節税する方法などがあるということです。贈与税を負担してでも、例えば毎年300万円ずつ、子どもに贈与していくといった方法があるわけです。

 

下の図表は、相続税と贈与税の速算表です。基礎控除が少ない分、贈与税のほうが不利に見えますが、プランの立て方によっては、贈与税のほうが有利な場合があります。

 

[図表]相続税と贈与税の速算表(改正後)
[図表]相続税と贈与税の速算表(改正後)

継続した贈与は資産移転に効果大だが、注意点もある

相続税というのは、この先もまた増税になる可能性があります。つまり、相続税は5年後、10年後までなかなか読めません。しかし、贈与税は毎年毎年実施して、その時点で贈与が完成するために、将来法改正があっても問題ありません。法改正の時点で、また計算し直せばいいだけのことです。

 

ただし、注意したいのは子どもの銀行口座を作って、毎年毎年、勝手に110万円ずつ積み立てていくと、「暦年贈与」であると主張しても、税務署が認めてくれないケースがあることです。

 

贈与は、相手も受け取ったという事実が不可欠であり、子どもや孫に内緒で贈与していく、というのは通用しません。ちなみに、贈与してから3年以内に「相続」が発生した場合は、贈与として認められず、相続税の対象になりますので、注意が必要です。

本連載は、2013年8月2日刊行の書籍『相続税は不動産投資と法人化で減らす』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

相続税は不動産投資と法人化で減らす

相続税は不動産投資と法人化で減らす

成田 仁,富田 隆史

幻冬舎メディアコンサルティング

従来より相続税対策として考えられてきた、アパートや小規模ビルなどの建設。しかし、それこそがリスクをもたらしているかもしれないとした…。 本書は、持て余している土地を収益性の良い賃貸物件に買い替える不動産投資の最…

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