近隣の注目を集めて塩漬け不動産を有効活用した具体例

看板の文字を変えることで、近隣に住む人から潜在的な需要を掘り起こし、土地の有効活用を実現した例をご紹介します。

先代から守ってきた大切な土地ではあるが・・・

地方の資産家は、都心近郊の人たちには想像できないくらいの広い土地、複数の土地を所
有しているケースがあります。

 

その土地を田畑として耕作しているならまだいいのですが、手入れのなされていない荒れ地や雑種地等の所有土地も多くあります。その他、地方の県庁所在地を少し離れたところでも、クルマ社会では交通の便が良く、クルマを数十台は停められそうな更地をたくさん持っているようなケースもあります。

 

それらは、先代から守ってきた大切な土地なのだと思いますが、本当にただ所有しているだけでいいのか、という疑問を感じている人もいます。

看板の文字を「管理地」に変えたら・・・

名古屋の資産家Cさんの例です。Cさんは名古屋市内の中心地や郊外に土地をいくつか所有しています。更地のままのところもあれば駐車場として貸し出しているところもあるのですが、駐車場は20台分のスペースに月極契約をしている個人・法人が数件。これだけの賃料収益では固定資産税も充当できない状態の土地もありました。

 

先祖代々の土地をそのままにしていても、暮らしは楽になりません。何とかならないもの
かとCさんから相談を受けた私は一計を案じ、Cさんの所有するすべての土地に「管理地」という看板を立てました。

 

看板代は1本につき5万円ほどでしょうか。それを数カ所に順次、設置していたところ、
郊外の200坪ほどの土地について、「これは売り物ですか?」という連絡が私のもとに入りました。私が、売り物ではなく管理地で、まだオーナーは利用法を決めていないことを伝えると、後日、再び電話がかかってきました。

 

「実家がこの管理地の近くで医院を開業しています。私の主人も医師で、できれば、この敷地に自宅兼医院を建てたいのです」と問い合わせの詳細を話してくれたのです。Cさんはその200坪ほどの土地を売却することにしました。

 

その土地は、住宅地にあるのではなく、郊外型の店舗が並ぶ通りの一角にあります。ずっと放ったらかしにしていた土地で、Cさんは固定資産税を払うのに苦慮していました。住宅地としてもあまりふさわしい場所とはいえず、現実になかなか買い手がつかない土地で、造成したとしても売れ残るリスクがあります。土地を貸して店舗を建ててもらう方法も考えられなくはないのですが、人口が減少し、経済が縮小している状況では、Cさんにとって都合のいい借り手が現れるとは思えません。

 

しかし、「管理地」と看板を掲げただけで、買い手が現れました。いわば周囲の人が土地
活用を考えてくれたのです。買い手が現れたときが売却のチャンスです。普通は見向きもされない土地だとしても、医院であれば、駐車スペースも必要で、買い手にとっては都合がいい土地なのです。

 

もし、「管理地」という看板ではなく「売り地」や「売り物件」と書かれた看板であった
なら、都合よく買い手が現れたかどうかは疑問です。売り地であれば、その不動産情報は近隣の不動産業者に流れていることになりますし、その看板は周辺の多くの人にとって見慣れたもので、「またひとつ売り地、空き地が出たな」と思って通り過ぎてしまうだけだったかもしれません。

 

ところが、「管理地」という看板であれば、周辺の人に「誰かがしっかりと管理していて、何かを建てるのかもしれない」といった興味を持ってもらうことができるのです。しかも、連絡先が名古屋ではなく、東京の不動産コンサルティング会社というところにも、興味・関心を持ってもらえたのかもしれません。

 

しかも、売却額は相場水準を上回りました。資産家のCさんにとっては決して大きな額で
はありませんが、それを元手に都内のマンションに資産の組み替えができる金額です。何より、そのままでは何も生まなかった土地が収益をもたらし、他の人に有効に使ってもらえるなら、Cさんにとっても望外の喜びだったはずです。

 

持っていても収益を生みにくく、今後下落傾向の続く地方の土地を売却して、売却で得た
お金を有効に使う。まさに、所有から他の物件での利用へ、と私が考える土地の有効活用を実現した一例です。

 

「管理地」という看板を立てるこの方法は、その土地の隣接する不整形な土地と合わせて売却したい場合や、中途半端な広さの土地を隣人に売ってしまいたいケースなどでも使えないことはありません。要は、「売り地」では注目が集まらない土地を「管理地」とすることで、潜在的な需要を掘り起こすことが狙いなのです。

 

需要は1件あれば十分です。数件の問い合わせを待って値段をつり上げようなどと考えて
はいけません。どんな塩漬け状態の土地でも、買い手は近場に必ずいます。不動産は、その土地の持つ特異性から、欲しがる人は近隣にいるということです。

 

次回は、地形の悪い土地の活用法です。

本連載は、2014年3月20日刊行の書籍『塩漬けになった不動産を優良資産に変える方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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東京アーバンコンサルティング株式会社 代表取締役社長

1967年、慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、三菱信託銀行入社。本店不動産部配属となり、不動産仲介・鑑定・開発・各種コンサルティング業務に従事する。その後、米国ロサンゼルス支店融資課長、次長、本店国際不動産コンサルティング業務担当部長等を歴任し、1991年に米国三菱信託銀行(ニューヨーク)会長兼社長に就任。
95年、英国系国際不動産コンサルティング会社である日本ナイトフランク株式会社代表取締役社長に就任。97年に東京アーバンコンサルテング株式会社を設立、現在に至る。
不動産鑑定士。不動産カウンセラー(日本不動産鑑定協会)。不動産コンサルティング技能資格(国交省所管)。宅地建物取引主任者(国交省所管)。不動産専門調停委員(東京簡易裁判所)。

著者紹介

塩漬けになった不動産を 優良資産に変える方法

塩漬けになった不動産を 優良資産に変える方法

相馬 耕三

幻冬舎メディアコンサルティング

バブル崩壊以降、買ったはいいものの収益を生んでいない賃貸物件や、地価の暴落でほったらかしになっている土地を抱える不動産オーナーは多くいます。ソニー生命の不動産整備などを実現してきた経験豊富な不動産コンサルタント…

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