前回に引き続き、「アイデアソン」が注目を集める理由を見ていきます。※本連載は、コミュニティデザイナーとして活躍する須藤順氏と、エイチタス株式会社の代表取締役である原亮氏の共著、『アイデアソン!アイデアを実現する最強の方法』(徳間書店)の中から一部を抜粋し、アイデアソンの概要と、アイデアソンを実際に取り入れたことで、企業にどのような好影響が表れたのかを紹介します。

「グループゆえに生まれる発想」に期待が集まる

前回に引き続き、アイデアソンが企業や自治体で注目を集める理由を見ていきます。

 

②コ・クリエーション(共創)への期待

 

イノベーションに対する一般的なイメージは、「イノベーションは1人の天才によって生み出される」、「高い専門性を有するプロフェッショナルによって創出される」といったものではないだろうか。

 

確かに、メディアなどと通じて紹介されるイノベーション事例にはそうしたものが多い。しかし、それらはイノベーションの一部分を切り取ったものに過ぎないことは注意深く現場を観察すればわかる。

 

画期的なイノベーションを生み出すのは、グループゆえに生まれる天才的発想「グループ・ジーニアス」の重要性であり、イノベーションは一度きりのひらめきではなく、ひらめきの連鎖によって具現化する。つまり、多様な主体によるコ・クリエーション(共創)がイノベーションを生み出すのである。

アイデアソンは「共創」を生み出すための有効な手法

たとえば、ブレークスルーを興すようなイノベーション(ここでは特許に経済的価値があったかどうか)は、バックグラウンドの異なる多様なメンバーによって生み出されやすいことがわかっている(以下の図表参照)。

 

[図表]イノベーション(経済的価値)とメンバーの多様性

 イノベーション(経済的価値)とメンバーの多様性
出所: Fleming(2004: p.22, 邦訳: p.13 )より
出所: Fleming(2004: p.22, 邦訳: p.13 )より

 

ここで示されていることは、イノベーション創出に専門性が必要ないということではない。複雑化する社会課題の解決のためには、もちろん高い専門性はこれまで以上に求められる。

 

特定の領域の高い専門性を有する人材は、時として、自らの専門領域の常識を疑うことなく受け入れてしまう。しかし、そうした常識は、異なる専門領域からみれば疑問を抱くような場合もある。

 

領域横断的なチームで取り組むことで、物事を多面的に捉えることが可能となり、異なる領域の視点や方法、技術を適用することでこれまでにないイノベーションにつながる。つまり、多様な人材がチームで共創することが重要となり、アイデアソンは共創を生み出すための有効な手法として期待を集めているのである。

 

この話は次回に続く。

サラリーマンを「副業」にしよう

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俣野 成敏

プレジデント社

「老後2000万円問題」「働き方改革」「残業規制」…等々。政府も会社も「自助努力でなんとか生きよ」と突き放す中、コロナ・ショックによる「リストラ」が、さらに追い討ちをかけています。一方で、自己責任の名のもとに「副業…

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