なぜ今「アイデアソン」が注目されているのか?

今回は、今「アイデアソン」が注目を集める理由を見ていきます。※本連載は、コミュニティデザイナーとして活躍する須藤順氏と、エイチタス株式会社の代表取締役である原亮氏の共著、『アイデアソン!アイデアを実現する最強の方法』(徳間書店)の中から一部を抜粋し、アイデアソンの概要と、アイデアソンを実際に取り入れたことで、企業にどのような好影響が表れたのかを紹介します。

ワークスタイルの多様化や、働く意識の変化などが理由

アイデアソンがなぜここまで注目を浴びることになったのか、もう少し詳細に見てみよう。そこには、我が国を取り巻く環境や社会構造の変化と、その変化が及ぼすさまざまな影響が考えられる。

 

我が国を取り巻く変化とは、たとえば人口構造の転換、グローバル化の進展と質的変化、コモディティ化の進展、イノベーションへの希求と源泉変化、ワークスタイルの多様化と働く意識の変化などが挙げられる(以下図表参照)。

 

[図表]社会的環境の変化と影響

出所:筆者作成
出所:筆者作成

 

こうした変化は、産業や生活、都市の構造を変え、主要な市場は徐々にシフトを始めている。テクノロジーの発展は、これまで差別化の要因であった知識や技術の優位性を相対的に引き下げ、これまで中心であった技術起点でのイノベーションや、閉鎖的な環境でのイノベーション創出は、徐々に価値創造の源泉にはなりえないことを明らかにしつつある。

 

つまり、社会構造の変化とそこから生み出される影響は、社会的課題を顕在化、複雑化させ、不確実性の増大した社会を創り出している。その結果、これまでの成功モデルや知識、経験が通用しない状況をあらわにしつつある。

 

アイデアソンへの注目という点からは、特に、①オープンイノベーションへの注目、②コ・クリエーションへの期待、③社会価値起点への発想転換、が重要となる。

「オープンイノベーション」に取り組むきっかけへ

①オープンイノベーションへの注目

 

近年注目されるイノベーションの1つに、「オープンイノベーション」がある。

 

これまでイノベーションは、自社の内部で秘密裏に進められることが一般的であった。それに対して、オープンイノベーションでは、オープンな関係や場で自社以外の組織メンバーに加え、時には、顧客やユーザーも一緒になってイノベーションの創出を目指すことになる。

 

つまり、自前主義へのこだわりを捨て、社外の優秀な人材との相互作用を通じて、優れたアイデアを取り入れ、内部と外部の市場経路を活用しながら課題解決を図ることになる。オープンで多様な人材が出入りしながら協働することによって、それぞれが持つ技術やアイデア、強みが組み合わさり、これまでにない新たな価値創造につながるというのだ。

 

しかし、特に日本企業の場合、競業他社や外部人材、ましてや顧客やユーザーと一緒に新事業や新サービスの開発を行うことが必ずしも得意とは言えない。また、社内だけを見ても、開発部門とマーケティング部門、営業部門が機能分担を行っているため、部門を横断して一緒に開発に取り組むことは少なかったように思える。

 

そうした中で、アイデアソンは、オープンイノベーションに取り組むきっかけづくりや、社外人材との協働に向けた素地づくりという点でも注目を集めている。

 

この話は次回に続く。

高知大学地域協働学部専任講師
博士(経営経済学)
社会福祉士 

専門は、社会的企業論/社会起業家論、コミュニティデザイン論。医療ソーシャルワーカー従事後、医療関連施設の立ち上げ、福祉施設の経営コンサルティングに参画。その後、中間支援機関においてコミュニティビジネス/ソーシャルビジネスのコンサルティング、コミュニティデザイン支援、農商工連携/6次産業化等の支援を担当。(独)中小企業基盤整備機構リサーチャー等を経て、現職。ビジネス・ブレークスルー大学非常勤講師、(独)中小企業基盤整備機構TIP*S人材支援アドバイザー等。アイデアソンファシリテーターのほか、ローカルイノベーション創出、起業家育成、地域づくり、コ・クリエーション創出に向けた実践とサポート、研究を全国各地で展開。

著者紹介

エイチタス株式会社 代表取締役

1974年生まれ。法政大学法学部政治学科卒。編集者・ライターを経てモバイル業界に転身。営業、ディレクター、取締役等を歴任したのち、2009年、地元行政、企業と「みやぎモバイルビジネス研究会」を立ち上げ。ITベンチャーでの経験を活かしながら、地域で自走する人や組織、社会を作るための活動を展開。2014年「GlobalLabSENDAI」代表幹事。2016年エイチタス株式会社を設立。企業、自治体などあらゆる組織、テーマでの価値の探索のサポートを展開している。

著者紹介

連載アイデアを実現する最強の方法「アイデアソン」の基礎知識

アイデアソン! アイデアを実現する最強の方法

アイデアソン! アイデアを実現する最強の方法

須藤 順、原 亮

徳間書店

「アイデアソン」とは、「アイデア」と「マラソン」を組み合わせた造語。大手企業や大学、地方自治体などで今話題のアイデア創出法で、facebookの「いいね!」機能を生んだと言われているハッカソンから、日本独自で進化をした…

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