Brexitの影響は軽微!? 英国不動産の最新マーケット動向

今回から、EU離脱決定が与えた英国不動産市場への影響について、複数回にわたって現地よりお届けをします。まずは、英国で最も影響力のある指標のひとつ「RICS住宅価格」から、現在のマーケット動向をお伝えします。

長引く離脱交渉・・・政治・経済への影響はいまだ不透明

2016年6月23日に英国にて行われた、英国のEU離脱の是非を問う国民投票では、離脱支持派が52%、残留支持派が48%という僅差で大方の予想を裏切る形で残留支持派が勝利しました。

 

今後は離脱決定後に発足したテリーザ・メイ政権が英国が実際にEUを離脱するまでの交渉や手続きを担うことになり、その舵取りに大きな注目が集まっています。実際に英国がEUを離脱するまでは、まだまだ時間がかかることが予想されており、政治・経済においてどのような影響を及ぼすかは不透明です。

 

それでは、Brexitが決定した後の英国の不動産マーケットがどのような反応を示しているのでしょうか?

 

今回から複数回に分けて、英国政府機関や現地の大手不動産コンサルタントなどが示している指標を参照していきたいと思います。

経済・金融政策にも影響を与える「RICS住宅価格」

まずは、英国にあるRICSという団体のレポートをみていきましょう。

 

RICS(英国王立不動産鑑定士協会)は、1868年にロンドンにて作られた団体で、1946年には元イギリス国王であったジョージ6世から”Royal = 英国王立”というタイトルを付与され、翌1947年に現体制の名称となりました。

 

RICSは、不動産を中心に絵画、アンティーク、機械などの資産評価や住宅開発契約のマネージメントなどを行なう専門家で構成されており、個人、法人、英政府などに中立的な立場からの専門的なアドバイスを提供しています。

 

同協会は、月に一度UK Residential Market Surveyと呼ばれるレポートにおいて英国の不動産マーケットの現在と未来の状況を示す指標を発表しています。このレポートは、英政府、イングランド銀行、IMF(国際通貨基金)などにも活用されており、RICS住宅価格と呼ばれる指標は国内外から多くの注目を集める指標となっています。

 

RICS住宅価格は、同協会に所属する不動産鑑定士のうち、英国内にある住宅の価格が上昇すると見込む鑑定士と低下すると見込む鑑定士の比率の差を示しており、将来的に住宅価格がどのような動きをみせるかを測る上で重要な指標の1つとなっています。

離脱決定で大幅に下落したが、現在は徐々に回復

下記は2016年1月~11月までのRICS住宅価格の結果を表したグラフです。2016年12月の分は2017年1月に発表される予定ですので、現時点では2016年11月までの結果が最新のものとなります。下記のグラフが示す通り、2016年初めは英国はEUに残留するというのが大方の予想であり、残留派が優勢でしたので結果は41%~50%という高い水準で推移していました。

 

しかし、イギリスのEU離脱の是非を問う国民投票が行われた6月が近づいてくると残留派と離脱派が拮抗していることが報じられ始め、2016年5月には前月の41%から19%に急落し、EU離脱が決まった6月には16%、7月には5%にまで低下しました。EU離脱が決まった直後の影響が反映されている結果は7月の5%ですので、EU離脱が決定したことによる先行き不安から英国の住宅マーケットはネガティブに作用しました。

 

しかし、2016年7月を境にRICS住宅価格は徐々に上昇し始めます。直近の11月の発表では30%にまで回復しており、今後も緩やかな上昇が予想されています。

EU離脱で想定されていた「クラッシュ」は起こらず

EU離脱が決定した後に市場に自信が戻ってきている理由には、主に下記の3つが挙げられています。

 

1. EU離脱が決定した後に想定されていたようなクラッシュは起きておらず、英国経済は予想されていたよりも良いパフォーマンスを発揮している。

 

2. イングランド銀行が政策金利を0.5%から0.25%に下げたことから、住宅ローンを活用しやすい環境が整っており、住宅市場を下支えしている。

 

3. EU離脱が決定する前から住宅への需要は強かったものの、新規住宅供給数が英政府が定める目標の半分にも達しておらず、この状況は改善されていない。

 

RICSの指標を見る限り、EU離脱決定前に噂されていた住宅市場のクラッシュは起こっておらず、比較的早い段階から市場には自信が戻ってきていると言えます。

 

次回は、英大手不動産会社が想定する、英国不動産の価格上昇率について解説します。

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ディフィニティブ不動産(Definitive Property Group Limited) 代表

1994年より不動産業界に携わる。不動産の売買、賃貸、管理に関する知識と経験を培った後、住宅開発部門において、住宅開発機会(既存の建物や土地など)の調達、投資戦略の考案と実現可能性の調査、購入手続き、地方自治体からの建築許可の取得、住宅建設のマネージメントなどを担当する。

2012年6月、自身の会社となるDefinitive Property Group Limitedを設立し、国内外の投資家へ英国になる一般住居、介護施設、学生寮などの不動産投資機会を販売している。その他にも一般のマーケットでは販売されていない、オフマーケットと呼ばれる住宅開発機会やロンドン中心部の高級住宅の売却も取り扱っている。
WEBサイト:http://definitivepropertygroup.com/jp/

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