投資信託の「バランス型ファンド」の特徴

今回は、投資信託の「バランス型ファンド」の特徴を見ていきます。※本連載では、毎年1000を超えるファンドを分析する投信評価会社に所属する「投信のプロ」が、投資信託の基礎知識を世界一わかりやすく解説します。

自分に適した投資信託はライフステージごとに変化

投資信託には、日本の株式や外国の債券といった特定の資産を組み入れるものだけでなく、複数の資産を1つのファンドに組み入れているものがあります。この形態の投資信託を一般的に「バランス型ファンド」と呼んでいます。

 

料理でいえば、和食と洋食をあわせて提供する和洋折衷のようなものです。一度に違う種類の料理を食べることができるのですから、大変にありがたいですよね。なにを食べたらよいのか迷っている人、どのようなものに投資をして資産形成したらよいのか、確固たる考えやアイデアがない人にとって便利な投資信託です。

 

また、複数の資産に投資することは、投資対象のリスク特性が異なっているので、分散効果も働きやすく、普段から頻繁に市場動向をみる余裕のない人や、知識や経験が少ない人が資産形成のコアとして、長期的な運用対象とするのに向いているといわれています。

 

バランス型ファンドといっても、タイプは1つではありません。色々なタイプがありますが、ここでは知っておきたい2つの特徴的なタイプを取り上げておきましょう。

 

その1つは、日本の株式や債券、外国の株式や債券といった主要な資産を中心として、あらかじめ決まった構成割合で資産を組み入れるタイプです。リスクも高いが成長性も大きい株式と、安定性の高い債券を組み合わせるのが一般的です。このタイプは一般的に3ファンド程度を1つのシリーズとして提供されています。債券の比率が高いもの、株式と債券がバランスよく組み入れられているものと、株式の比率が高いものです。

 

比較的高齢のシニア層やリスクを抑えたい人には債券の割合の高いファンド、一方で、現役世代の資産形成層やリスクをとることができる人には株式の割合が高いものが向いています。下記の図は、自分の年齢や自分の許容リスクの大きさにあわせて、どういった人にはどのタイプのファンドが向いているのかを示しています。

 

【図表】年齢と許容リスクからファンドの組み合わせ例

 

リスクのとれない高齢の人は和食、いまから資産形成に励む育ち盛りの人はカロリーの高い食事といったふうに、複数の資産を組み入れてバランスを取りながらも、自分にあったファンドを選ぶことができます。ファンド名は、「安定(保守)型・中立型・積極型」や「債券重視型・株式重視型」、「株式20・株式40・株式60」といったシリーズになっているので見分けやすいです。

 

バランス型ファンドで知っておきたいもう1つのタイプは、資産の構成割合を時間の経過とともにファンドのなかで変化させてくれるタイプです。人生のステージによって、資産形成はリスクを受け入れることができる世代から安定的な運用が好ましい世代にシフトすることが適しているという考えをベースに、リスクが大きい資産構成から安定的な資産構成にシフトさせるのです。

 

上記の図でみると、1つのファンドに投資をすれば、年齢が進むにしたがって左から右のような資産構成にシフトしていくイメージです。年齢にあわせて、最初はカロリーが高い食事が中心だったものが、次第に和食中心の食事に切り替えてくれるようなイメージです。

 

このタイプは、一般にターゲット・イヤー・ファンドとかターゲット・デート・ファンドと呼ばれています。ファンド名に2040や2050など、ターゲットとする年代が付けられています。この年代になるとファンドの中身はほとんどが日本債券のような安定資産になることを考慮してファンドを選びます。

 

あらかじめ決まった構成割合で資産を組み入れるタイプもターゲット・デート・タイプも、いずれもライフステージに則した資産形成を考えた投資信託です。

手が込んでいる割にコストが低いファンドも

料理の場合には、一度にたくさんの種類を食べることは辛いので、通常は特定の種類や一品料理を食べるのが一般的ですよね。お刺身定食であるとか、カレーライスやラーメン、イタリアンといった感じでお店やメニューを決めます。

 

和洋折衷や様々な種類の料理を織り混ぜた食事は手が込んでいることもあり、高級なお弁当とか披露宴の会食など特別な場で提供されることが多いでしょう。投資信託においても、複数の資産を組み入れたファンドは手が込んでいるため、単一の資産に投資するファンドよりも費用面などで割高なのかといえば、実はそうでもないことも多いです。この点は食事とお金の世界での違いでもあり、投資信託の便利な機能によるところでもあります。

 

どうして手の込んだバランス型の投資信託がそれほど高くない費用で提供されるのか、ここでは詳しくは述べませんが、投資信託を設定し運用している運用会社は、すでに個々の色々な資産の料理を取り揃えているので、それを組み合わせるだけで済むからです。新たに、そのための料理を個々に作る手間がかからないので、比較的低コストで、このようなタイプの投資信託がアレンジできるのです。

 

まるで、総菜屋さんが、一品料理を少しずつ取り合わせた幕の内弁当やおかず5種弁当を、リーズナブルな値段で作ってくれるようなものです。どのような資産に投資したらよいか迷っている人にはお勧めの投資信託です。

 

ただし、複数の資産を組み合わせたファンドの中には、これまでお話ししたシンプルなタイプではなく、ラップ型やリスクコントロール型と呼ばれる、もうひと手間加えたファンドもあります。こちらのタイプは手間に応じて費用がかさみますので、実際に購入する際には費用水準を確認することがよいでしょう。

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三菱アセット・ブレインズ株式会社 シニアコンサルタント

慶応義塾大学卒、唐木研究会出身。三菱UFJ信託銀行において、投資の専門家として20代前半から数十年にわたり、ファンドマネージャー、トレーダーとして一貫して運用の最前線に身を置き、市場のなんたるかを体得。その経験をもって、現在は、投資信託の評価会社である三菱アセット・ブレインズ(MAB)において、投資信託の販売支援や投資教育などを通じ、個人が安心して健全な資産形成に励むことができるための啓蒙に取り組んでいる。
書籍『顧客をリスクから守る資産形成術』(きんざい)を始め、資産形成に関する記事を新聞、雑誌に多数掲載。

三菱アセット・ブレインズ株式会社(MAB)
http://www.mab.jp/

著者紹介

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