前回は、オーナーを悩ませる「悪徳管理会社」を見極めるコツを説明しました。今回は、「一括借り上げ契約」のデメリットをより詳しく見ていきます。

転売時に契約上の制限を受けるケースも

前回に引き続き、「一括借り上げ契約」のデメリットを見ていきましょう。

 

●天変地異や大規模な経済情勢の変動による解約

 

一括借り上げには、契約期間があります。しかし、ほとんどの契約書には「天変地異や大規模な経済変動が起こった場合は解約できる」といった一文が入っているはずです。つまり、管理会社の経営状態によっては突然解約されることもあります。

 

●高い広告費

 

空室が怖いのは、一括借り上げを行う管理会社も同じです。そのリスクヘッジとなるのが広告費。そのため契約によっては「空室1カ月後は広告費3カ月分をオーナーが負担する」といった内容が入ることがあります。多くのケースでこれだけの広告費があれば家賃保証をしてもらわなくても入居者を見つけることができるはずです。

 

一括借り上げの契約内容には、前述の「悪徳業者を見極めるコツ」にあった解約条項のさらに上を行くものもあります。一括借り上げ契約を結んだ管理会社は、法人とはいえ借り主。借り主は借地借家法によって手厚く保護されます。したがって、オーナーの都合で簡単には退去させることができないことになっているのです。

 

借り主の管理会社のなかには、この法律を根拠として絶対に契約を解除しないところがあります。もし、売却するなら一括借り上げ契約を買い主に引き継がなければなりません。そんな物件を買いたいという人は少ないでしょう。実際に私の会社では、これで裁判沙汰になることもしばしばあります。

 

しかし、そのほとんどは敗訴・・・。結局売却できない、または新しいオーナーが泣く泣く契約を引き継ぐことになります。

一括借り上げは管理会社が儲かるようにできている

ここまで読めばわかるように、一括借り上げ契約というものは、管理会社側が絶対に儲かるようになっています。オーナーは家賃の決定権もなければ、自由に売ることもできません。つまり名義だけのオーナーです。ちなみにこのような仕組みは、大手ほど巧みに構築しています。

 

空室が長く続くようなら広告費を増やす、家賃を見直す、リフォームを行うといった方法でほとんどが解決可能です。結果的には一括借り上げをしてもらうよりも費用はかからないでしょう。同契約はまったくお薦めできません。

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    本連載は、2016年5月27日刊行の書籍『世界一わかりやすい「公務員」の不動産投資術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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