前回は社団法人、財団法人にとっても設置が不可欠な「機関」について説明しました。最終回は、法人化を実施する前に把握しておくべき留意点について見ていきます。

法人化が意味を成さないケースもある

ここまでの連載では、法人化のための具体的な手法について述べてきました。しかし現実問題としては、株式会社や合同会社、あるいは一般社団法人、一般財団法人を設立することが難しい、あるいは、設立する意味がさほどないケースもありえます。

 

例えば、賃貸事業からの収益が小額にとどまっているため、法人化によって得られる節税効果が法人の設立に要する費用や手間に見合わないような場合です。

 

また、相続が間近となった状態で、銀行から融資を受けてマンション、アパートを建てるような場合も、あえて法人化を行わず、個人のまま持ち続けておくほうがよい可能性があります。

 

負債がマイナスに評価され、相続時に資産の評価額が大きく下がるなど、個人の資産として持ち続けておくほうが相続税の計算上は有利に働くからです。

法人を設立した段階はあくまでもスタート地点

このような例が示すように、法人化は決して相続税対策の唯一の選択肢というわけではありません。また、いうまでもなく、法人化をすれば、相続税対策が必ずうまくいくというわけではありません。

 

「株式会社にしたからもうこれで大丈夫」などと安心するのではなく、法人を設立した段階ではあくまでもまだ一つのスタート地点に立ったにすぎないことをしっかりと意識しておくようにしましょう。

本連載は、2014年11月27日刊行の書籍『地主の相続財産は法人化で残す』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

地主の相続財産は法人化で残す

地主の相続財産は法人化で残す

小澤 豊,川本 泰正

幻冬舎メディアコンサルティング

相続税をできるだけ節税したい、遺産分割で家族がもめてほしくない──。地主にとって相続は、頭の痛い問題です。 多くの地主の相続財産は、現金ではなく土地が大半のため、いざ相続になったときに預貯金だけでは相続税を支払…

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