自社株式の評価額の引下げと「黄金株」の活用方法

前回は株式会社で法人化することで、相続にどのようなメリットがあるかについて説明しました。今回は、株式の評価額を下げることで相続税を減らす方法や、いわゆる「黄金株」の活用法などについて見ていきます。

資産や利益がマイナスなら、株式の評価額は下がる

前回ご紹介した株式の評価方法からも推察できるように、株式の評価額は会社の純資産や利益などが多ければ高くなり、逆に少なければ低くなります。そこで大まかにいえば、会社の純資産や利益などをできるだけ減らす、すなわちマイナスの状態にするよう努めれば、自社株式の評価額も下がることになります。

 

会社の純資産や利益などをマイナスの状態にする方法としては、例えば、マンション、アパートの大規模修繕などを行って支出を大幅に増やすなどのやり方が考えられます。このような方法を用いることにより、相続時以前に純資産がマイナスの状態となったときがあれば、そのときに家族に株式を贈与してしまう、すなわち株式移転を行うのが有効な相続税対策となります(株式に価値がないと評価されれば、贈与税は課されません)。

拒否権付き株式なら議決をコントロールできる

もっとも、子供に株式を贈与するようなケースでは、経営権を全面的に与えることに不安を感じるかもしれません。そのような場合には、拒否権付き株式を用いて自らの経営権を確保しておく手だてを講じておくとよいでしょう。

 

拒否権付き株式とは、株主総会で決めるべき一定の事項について議案を否決する権利を付与した株式であり、一般に黄金株と呼ばれています。例えば、会社が売却されるようなことを防ぎたいのであれば、子供に株式を譲渡する一方で、自身は会社売却の議案を否決する権利が付与された黄金株を保有しておけばよいのです。

 

このような黄金株を活用できることは株式会社の大きなメリットといえるかもしれません。なお、黄金株を利用するためには、定款にその旨を記載しておくことと(下記の図表参照)、登記簿へその旨を記載しておくことが必要となります。

 

[図表]黄金株を利用する際の定款の文例
[図表]黄金株を利用する際の定款の文例

本連載は、2014年11月27日刊行の書籍『地主の相続財産は法人化で残す』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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税理士法人ティーアンドエス 会長

1950年生まれ。1983年に埼玉県上福岡市で税理士登録開業し、1995年から川越市に事務所を開設。2010年、税理士法人ティーアンドエス設立。 埼玉県内で30年以上税理士として活躍し、特に都市近郊の地主に向けた相続税対策については知識・経験が豊富。

著者紹介

税理士法人ティーアンドエス 所長

1966年生まれ。平成元年、慶応大学経済学部卒業。その後、海外留学をし、一般企業にて国内海外の不動産開発にかかわる。 平成8年、税理士試験合格。平成11年、さいたま市にて税理士登録開業。

著者紹介

地主の相続財産は法人化で残す

地主の相続財産は法人化で残す

小澤 豊,川本 泰正

幻冬舎メディアコンサルティング

相続税をできるだけ節税したい、遺産分割で家族がもめてほしくない――。地主にとって相続は、頭の痛い問題です。 多くの地主の相続財産は、現金ではなく土地が大半のため、いざ相続になったときに預貯金だけでは相続税を支払…

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