今回は、不動産購入では「絶対に固定金利を選ぶべき」と痛感した筆者の経験をお伝えします。本連載は、株式会社タカ・コーポレーション代表取締役、中村 隆氏の著書『続・究極の不動産投資術』(株式会社タカ・コーポレーション)の中から一部を抜粋し、不動産の購入から、入居者募集、物件の維持管理まで、「究極の不動産投資術」の具体的な内容を解説します。

金利変動リスクを「借りた側だけ」が負う変動金利の選択

借入金利は固定から変動には変更できますが、変動から固定には変更できないので注意が必要です。今のようなデフレ経済で長期金利も低く抑えられている時期は固定金利を選択する方がいいと私は思います。1%強ないし2%違っても絶対に固定にするべきだと思います。なぜかといいますと私の苦い過去の経験から説明します。

 

私はブラックマンデーの翌年の1988年に京都に木造の築30年の一軒家を買いました。初めての不動産購入です。当時の住友不動産販売の仲介で買いましたので、当然提携銀行である当時の住友銀行から2100万円借入しました。当時あまり固定金利や変動金利に関心はなくて、銀行に勧められるままに固定金利より金利が低い変動金利で融資の申し込みをしてしまいました。これが悲劇の始まりになろうことは当時の私にはまったく予想できませんでした。

 

一般的には毎月返済額の低い、すなわち金利の低い変動金利を選択します。その方が借りる側に有利ですし、貸す側の銀行も金利が後々上がるリスクをヘッジする(保険にかける)ためにも有利です。変動金利を選択することは、金利変動リスクを借りた側だけもつことを意味します

 

私は銀行からお金を借りて当初の3年くらいは何事もなく普通に返済していました。しかしその後、経済情勢が悪化して金利が徐々に引き締められていきました。当初3%だった変動金利がついに7%以上にまで上昇してしまいました。私の想定外のことが起こってしまいました。すなわち金利が大幅に上昇することによって元金がまったく減らず、払うべき利息が返済額を上回り未払い利息が発生したわけです。

 

毎月一生懸命に返済しても元金が減らずに逆に元金が増えていきました。私はもう気がおかしくなりそうでした。自分ではコントロールできない現実の中、私はただ金利が下がってほしいという淡い期待だけで当時を過ごしていました。私にはもしかしたら一生かかってもこの家のローンは返済できないのではないかと真剣に悩んでいました。その後4、5年経つと私の祈りは天に届いたのか金利はまた徐々に下がっていき、以前のように元金が少しずつ減っていくようになり、銀行から送られてくる返済表を見ながらほっとしたことを今でもよく覚えています。

 

【図表】政策金利の推移

政策金利の推移 日本経済新聞2010(平成22)年2月6日掲載
日本経済新聞2010(平成22)年2月6日掲載

「自分でコントロールできない」金利の変動リスク

ここで読者の方に言いたいです。変動金利を選択した場合、もし返済期間内に金利が大きく上昇すると、予定通り元利金返済していても自分のコントロールできない要因で元金が一向に減らない事態になってしまう可能性があることは、前もって知っておいても損はしません。むしろ肝に銘じてください。私は過去にこういう苦い経験をしてきましたので、「アパート経営をしている間にまたそういう目にあったらどうしよう」と思うと、迷わず固定金利で長期借入を選択しました。このことで完全に金利上昇リスクを自分ではなく銀行に持ってもらい、私から一つのリスクが消え去りました。リスクは一つでもない方が安心して余裕を持ってより健康的にアパート経営に専念できます。これは非常に精神衛生上良いことです。

 

以上契約する時に特に注意しなければならない点を4点書きました。またいうまでもなく金利上昇リスクをご自身でリスクテイクできる自信のある方は自己責任で契約してもらって結構です。

 

読者の方は大事な時間を使って本連載を読まれているので、私の過去の失敗例から少しでもキャッシュフローにプラスになることを吸収してほしいと私は強く思っています。

 

私の経験をもう一ついいますと、私は証券会社に24年間いました。この間、いろいろなリスクと一緒にお客様と対峙していました。それは価格変動リスク、信用取引の待ったなしの期限のリスク等です。お客様には大変ご迷惑を何度もおかけしたことは私の心を痛めました。お客様のご心労を思い、どうにかしてリスクを減らせないかを常に考えていました。すなわちリスクをヘッジできるものはないかです。幸い証券会社の商品にはリスクヘッジできるものがいろいろありました。

 

そこで今度はアパート経営に関してはどんなリスクがあるのかを徹底して検討してみました。私は、全国の大家業をしている方やこれから大家業をする方、また不動産投資に関心ある方に事前にリスクを知ってほしいのです。

本連載は、2012年3月20日刊行の書籍『続・究極の不動産投資術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

続・究極の不動産投資術

続・究極の不動産投資術

中村 隆

株式会社タカ・コーポレーション

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