今回は、「ダイヤモンド」の善し悪しを見極める方法を見ていきます。※本連載は、諏訪貿易株式会社の会長として、世界各国の宝石および宝飾関連業者とのビジネスを行っている諏訪恭一氏の著書、『価値がわかる 宝石図鑑』(ナツメ社)の中から一部を抜粋し、主要な宝石について、その価値や品質、選び方などを紹介します。

実際に動かして「モザイク模様の輝き」を確かめる

原石をブリリアントカットに研磨する目的は、姿を整え、光をつかまえて、輝きと分散光を得るためです。人は身に着けて動かして光のモザイク模様のパフォーマンスを楽しみます。

 

ダイヤモンドの善し悪しは、サイズとその姿、モザイク模様のパフォーマンスによって判定します。

 

次に、石の形があなたに合っているかどうか、年を重ねても身に着けられるサイズかどうかを考えてみてください。もし形に親近感が持てなかったら別のものを、十分な大きさでないと感じたら、小粒のダイヤモンドを連鎖させたバンドタイプや、集合させたクラスターを選ぶのが賢明です。

ダイヤモンドの品質を測る基準、「4C」とは?

4Cは、現在は業者の価格付けに使用されていますが、本来は品質を説明するためのスケール(物差し)です。

 

たとえば無色~黄色みを示すD~Zの【Color】では、「エメラルドカットは黄色みが目立つのでFカラーより上がいい」、あるいは【Clarity】は「I1は肉眼で見える美しさを損なうキズがある」といった、ダイヤモンドの特徴を説明するための道具です。

 

GIA基準を習得すると、色やキズの程度をカラー:F、クラリティ:I1といった共通の記号で認識することができます。

 

注意すべきことは、Clarityは“透明度”と訳されますが、10倍の拡大で見えるインクルージョン(内包物)の大きさと種類のことを指します。ダイヤモンドをよく知る人は、いくら拭いても汚れがとれない石のことを車のワイパーになぞって「ワイパーストーン」と呼びます。

 

透明度(Transparency)は宝石の美しさを左右するので、Clarityのグレードとは別に、自分の目で確認することが大切です。グレードが良くてもワイパーストーンに魅力はありません。

 

ダイヤモンド原石の善し悪しは「5つの要素」で確認

ダイヤモンドの原石は、一粒一粒で異なります。その価値は、サイズ(大きさ)、トランスペアレンシー(透明度)、シェイプ(形)、カラー(色)、インクルージョン(内包物)の5つの要素を確かめ、相互の関連を考慮し、研磨後にどのようなダイヤモンドに仕上がるかをイメージして判断します。

 

現在、研磨済みダイヤモンドの品質測定に使われている4C〈Color、Clarity(inclusions)、Cut(shape)、Carat(size)〉は、本来は原石の善し悪しの判定の要素なのです。

 

原石を見るときは利き手にルーペを持ち、もう片方の手の親指と人差し指でダイヤモンドを挟みます。そして原石を近づけながら観察します。自分が石の内部にまで入り込むような感覚で想像力を働かせることが必要です。

 

ダイヤモンド原石のエキスパートは、原石の内部がどのような状態であるかを5つの要素と原産地の傾向から総合的に判断し、研磨後の仕上がりを予測して値付けを行います。

 

※外見が不透明で内部のトランスペアレンシー、カラー、インクルージョンがわかりにくい原石は、表面の特徴や産地ごとの傾向から経験的に仕上がりを予測する
※外見が不透明で内部のトランスペアレンシー、カラー、インクルージョンがわかりにくい原石は、表面の特徴や産地ごとの傾向から経験的に仕上がりを予測する

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