新たなアイデアを生む「アイデアソン」を実施した企業の事例

今回は、新たなアイデアを生む「アイデアソン」を実施した企業の事例を見ていきます。※本連載は、コミュニティデザイナーとして活躍する須藤順氏と、エイチタス株式会社の代表取締役である原亮氏の共著、『アイデアソン!アイデアを実現する最強の方法』(徳間書店)の中から一部を抜粋し、アイデアソンの概要と、アイデアソンを実際に取り入れたことで、企業にどのような好影響が表れたのかを紹介します。

IT企業を中心に、多様な領域で開催されるアイデアソン

アイデアソンは多様な目的、テーマで開催されている。代表的なものとしては、①新事業創造、②スタートアップ、③地域活性化、④地域課題・社会課題解決、⑤教育・人材育成、⑥エコシステム創出、⑦オープンデータ活用、に分類できる(以下の図表参照)。

 

[図表]アイデアソンの実施領域

出所:筆者作成
出所:筆者作成

 

①新事業創造

 

新サービスや新商品、新事業創造を目的としたもので、企業のワーカーや、起業予定者などが主要な参加者となる。

 

たとえば、すでに発売している製品やサービスをブラッシュアップし、新たな価値創造を図り、新サービスや新商品の開発につなげる場合や、全く新しいサービスや新商品のアイデアを考える場合などである。

 

主催は大企業やスタートアップアクセラレーター、ベンチャーファンド、行政や公的支援機関、大学等が主となる。

 

イベントは公開型で行われる場合もあれば、特定の企業の関係者だけの非公開型で開催される場合もある。また、スタートアップアクセラレーターやベンチャーファンド、支援機関が主催する場合には、優れたアイデアに対して賞金や資金提供、メンタリング等が行われ、実際のサービスインを目指してアフターフォローを行う場合もある。

 

<事例>

●ポスト・スマートフォンを考えるアイデアソン~ドコモの新技術、ポータブルSIMを使って~

 

開催日/2014年7月23日、主催/NTTドコモ、場所/(株)NTTドコモ・ベンチャーズ・ラウンジスペース(東京都港区)

 

ドコモのポータブルSIMを使い、ポスト・スマートフォン時代のデバイス利用のあり方を考えるアイデアソンを開催。体型とポータブルSIMを結びつけて、店に行くと自動で自分の体形に合った服が手に入るといったアイデアが生まれた。

 

●SONY×Yahoo!JAPANアイデアソン

 

開催日/2014年7月26日、主催/ヤフーリッチラボ、場所/東京

 

ハードウェアに強みのあるSONYと、ソフトウェアに強みのあるYahoo!JAPANが共同して、IoT(InternetofThings)をテーマに両社の社員50名が集まり実施された。SONYの開発中のプロダクト(MESH端末)を活用し、風鈴に加速度センサーを付けるサービスアイデアなどが創出された。

 

●HONDADNAHackathon「HONDAのDNAをHackして、震災復興を加速させよう。」

 

開催日/2014年3月7日~8日、主催/本田技研工業株式会社、場所/旅館すがわら(宮城県大崎市)

 

日々新しい製品の創造や技術革新へのチャレンジを続けるHONDAと、宮城県で活躍するIT関連企業やIT技術者が一緒にドライブを楽しむアプリの開発を行い、HONDAのものづくりの姿勢や取り組み方を学ぶとともに、新たなネットワーク形成を目指した。

「実現可能性の高い」ビジネスモデルに練り上げる

②スタートアップ

 

ビジネスアイデアを考え、短期間で事業化を図ることを目指し、起業予定者やそのチーム、学生が主要な参加者となる。たとえば、ビジネスアイデアを考え、メンターからのサポートを受けながら実現可能性の高いビジネスモデルに練り上げていくケースである。

 

主催はスタートアップアクセラレーターやベンチャーファンド、公的支援機関のほか、世界的企業等によって行われ、イベントは公開で行われる場合が多い。

 

<事例>

●スタートアップウィークエンド

 

開催日/随時、開催場所/東京、仙台ほか

 

世界的に展開される、「スタートアップ体験イベント」。アイデアを形にするための方法論を学び、スタートアップをリアルに経験することを目指し、週末の3日間でビジネスモデルを作り上げる。テーマはITに限らず、第一次産業や地方創生など多岐にわたる。

 

●石巻ハッカソン

 

日時/2016年7月29日~31日、主催/一般財団法人イトナブ石巻、一般社団法人ISHINOMAKI2.0、場所/宮城県石巻工業高等学校(宮城県石巻市)

 

2011年3月の東日本大震災で大きな被害を受けた石巻市で、若者たちが地域に残り、ITを活用した新たなフィールドとして再構築していくことを目的に開催されたアイデアソン/ハッカソン。地元の高校生やITエンジニアに加え、大企業のエンジニアや他県からの参加者も相次ぎ、2016年8月時点で5回開催。恒例イベントとして関心を集めている。

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連載アイデアを実現する最強の方法「アイデアソン」の基礎知識

高知大学地域協働学部専任講師
博士(経営経済学)
社会福祉士 

専門は、社会的企業論/社会起業家論、コミュニティデザイン論。医療ソーシャルワーカー従事後、医療関連施設の立ち上げ、福祉施設の経営コンサルティングに参画。その後、中間支援機関においてコミュニティビジネス/ソーシャルビジネスのコンサルティング、コミュニティデザイン支援、農商工連携/6次産業化等の支援を担当。(独)中小企業基盤整備機構リサーチャー等を経て、現職。ビジネス・ブレークスルー大学非常勤講師、(独)中小企業基盤整備機構TIP*S人材支援アドバイザー等。アイデアソンファシリテーターのほか、ローカルイノベーション創出、起業家育成、地域づくり、コ・クリエーション創出に向けた実践とサポート、研究を全国各地で展開。

著者紹介

エイチタス株式会社 代表取締役

1974年生まれ。法政大学法学部政治学科卒。編集者・ライターを経てモバイル業界に転身。営業、ディレクター、取締役等を歴任したのち、2009年、地元行政、企業と「みやぎモバイルビジネス研究会」を立ち上げ。ITベンチャーでの経験を活かしながら、地域で自走する人や組織、社会を作るための活動を展開。2014年「GlobalLabSENDAI」代表幹事。2016年エイチタス株式会社を設立。企業、自治体などあらゆる組織、テーマでの価値の探索のサポートを展開している。

著者紹介

アイデアソン! アイデアを実現する最強の方法

アイデアソン! アイデアを実現する最強の方法

須藤 順、原 亮

徳間書店

「アイデアソン」とは、「アイデア」と「マラソン」を組み合わせた造語。大手企業や大学、地方自治体などで今話題のアイデア創出法で、facebookの「いいね!」機能を生んだと言われているハッカソンから、日本独自で進化をした…

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