かつての栄華を再現?中国の壮大な構想

中国の重点政策の一つである「一帯一路」構想を解説している本連載。第4回は、構想の具体的なルートからみえてくる、中国の壮大な計画について見ていきます。

アジア・欧州・アフリカを包含する壮大な構想

「一帯一路」構想の具体的なルートについては、早くから新華社通信他がネット上で地図を掲載している。それによると、陸上は、西安から甘粛省の蘭州、ウルムチ、コルガス(カザフとの国境付近)を通過した後、中央アジアを南西に下りテヘランを通過、さらに北西に向かいイスタンブールに到達、ここでボスポラス海峡を渡り北上、モスクワを経由した後、西へ向かい、ドイツのドウイスブルグを経て、ロッテルダムで南下、ヴェニスに到達し、海上ルートと交わる。

 

これに対し、海上は、福建省福州から広州、海口、北海等を経てハノイに到達、その後マラッカ海峡を南下、ジャカルタ、クアラルンプールを経てスリランカのコロンボとインドのコルカタに向かった後、インド洋を渡ってケニアのナイロビに到達する。その後、アフリカ大陸に沿って北上し、紅海を通って地中海に抜け、アテネ、ヴェニスに到達し、陸上と交わる。

 

最も詳細な新華社通信の地図(注1)はウェブサイト上で適宜変更されており、立ち上げ時点から、モスクワ、コロンボ等が経由地として加えられている。いずれにしても、アジア、欧州、アフリカという3つの大陸をひとつのループで囲む壮大な構想で、まさに、かつて中国が外界から見て、様々な物資や情報の発信・中心であったことを再現しようとする壮大な試みに見える。

印度(インド)、印尼(インドネシア)、斯里兰卡(スリランカ)、肯尼亚(ケニア)、哈萨克斯坦(カザフスタン)乌兹别克斯坦(ウズベキスタン)、伊朗(イラン)、土耳其(トルコ)、俄罗斯(ロシア)、荷兰(オランダ)、希腊(ギリシャ)中国ネット「一带一路国家地图好搜图片」より転載
印度(インド)、印尼(インドネシア)、斯里兰卡(スリランカ)、肯尼亚(ケニア)、哈萨克斯坦(カザフスタン)乌兹别克斯坦(ウズベキスタン)、伊朗(イラン)、土耳其(トルコ)、俄罗斯(ロシア)、荷兰(オランダ)、希腊(ギリシャ)
中国ネット「一带一路国家地图好搜图片」より転載

行動文書は「アジア、欧州、アフリカを繋ぐもので、両極に成長著しいアジア経済圏と発展した欧州経済圏、その中間に潜在的に大きな発展可能性を持つ広大な後背地が存在する」といった形で概要ルートのみ記述している(注2)。

ケニアからアフリカ内部にまで回廊を結ぶ構想も

アフリカに関しては、地図では現状ナイロビだけが明示されているが、中国はもっと大きな野心を持っていると推測される。

 

2014年5月、李首相がケニアを訪問した際、‘東アフリカ交通回廊’建設構想を提唱、ナイロビとケニア最大の港モンバサ間を結ぶ38億ドル規模の鉄道プロジェクトで合意、15年1月、王毅外相のケニア訪問の際にも同プロジェクトが確認された。ケニアでの鉄道プロジェクトは、アフリカでの海上シルクロードの中核をなすと考えられるが、これはいずれ、ナイロビとウガンダ、ルアンダ、南スーダンの首都を結ぶものになり得る。

 

またケニア以外でも、中国はジブチ、タンザニア、モザンビーク、マダガスカルでの港湾整備計画も有しており、これらが具体化すると、海上ルート上に、インド洋から紅海にかけ、少なくとも6つの港が建設されることになる。
 

(注1)新華網「新丝路・新梦想」http://www.xinhuanet.com/world/newsilkway/index.htm

(注2)行動文書は構想の原則として‘開放性’を強調、関係先は古代のシルクロード沿線に限定されないとしている。また、2015年3月政治協商会議で、程駐日大使は、構想では日韓とも協力すべきと発言している。

本稿は、個人的な見解を述べたもので、NWBとしての公式見解ではない点、ご留意ください。

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連載一帯一路――シルクロード・ルネサンスにかける中国の狙い

Nippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank(NWB/日本ウェルス) 独立取締役

1976年、大蔵省入省。1990年、アジア開発銀行理事代理、2000年、香港理工大学中国商業センター客員研究員。2003年、アジア開発銀行研究所総務部長、2006年以降、財務省神戸税関長、財務省財務総合政策研究所次長、財務省大臣官房政策評価審議官、2010年から大和総研常務理事等の要職を歴任。 2015年、NWB(日本ウェルス)の独立取締役に就任。一橋大学卒。香港中文大学普通話課程修了。
WEBサイト https://jp.www.nipponwealth.com/

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