「売上総利益率」が会社の存在価値の源泉といえる理由

今回は、会社の存在価値の源泉ともいえる「売上総利益率」について説明します。※本連載では、公認会計士・矢島雅己氏の著書『決算書はここだけ読もう[2017年版]』(弘文堂)の中から一部を抜粋し、決算書をもとに、会社の「収益性」を上げるための具体的な方法を見ていきます。

「売上利益率」は3つのステップで検討

会社の収益性の分析をするときに、投下した資本に対する利益の割合としての総資本利益率や自己資本利益率があることを説明してきました。そして資産の効率的な利用の指標として総資本回転率を見てきました。

 

一方、会社の収益性の分析をするときに売上に対する利益の割合を見ることも重要です。これが「売上利益率」です。

 

売上利益率を段階的に検討するには、具体的には以下のステップをとります。

 

売上総利益率(=売上総利益÷売上高)

売上営業利益率(=営業利益÷売上高)

売上経常利益率(=経常利益÷売上高)

企業に求められる「売上総利益率」を高める活動

「売上総利益」は会社のすべての活動に必要なお金の源です。

 

社員の給与、事務所の家賃、設備投資などすべて売上総利益からまかなわなければなりません。そんな重要な売上総利益を、どれほどの売上高で稼ぎ出したかという、いわば商売の効率を表すのが「売上総利益率」です。

 

私はこの売上総利益率を最も重視する指標の1つ、としています。

 

ある意味、社会が必要としているか否か会社存続のメルクマール、存在価値の源泉と思っています。物を仕入れて販売する小売店を考えてください。売上総利益率が高いということは、安く仕入れられるか、高く売れることから達成できます。

 

それは安く仕入れさせてもその小売店に扱わせようと考える生産者がいるか、高くてもその小売店で買おうとする顧客がいるからです。

 

つまり、その小売店を必要としている人たちが多いということ、それだけ社会に必要とされ存在価値がある、ということです。この価値である、売上総利益率を高めていく活動が企業には求められているのです。

 

商品やサービスの品質であったり、利便性や納期など、他社とは違う差別化された卓越したノウハウが売上総利益率の違いになって現れているのです。売上総利益率の変化については、十分気をつけて見ておく必要があります。もし、売上総利益率が低下したら、以下のことを見てみましょう。

 

①売上単価の低下。価格が落ちていないか(値引きの要求か)

②得意先構成が変わっていないか

③安価な商品の販売比率が高くなっていないか

④売上総利益率の高い商品の売上が減っていないか

⑤仕入単価が上昇していないか

 

【KEYWORD】

売上総利益率=売上総利益を売上高で除した値。

営業利益率=営業利益率とは、営業利益を売上高で除して求めたものである。営業利益率は、企業の収益性、経営効率の良否を示す重要な比率。

経常利益率=経常利益率は、売上高に対する経常利益の割合。経常利益は財務活動を含む会社の正常な経営活動から獲得された利益。

 

【図表】 売上利益効率の求め方

<ここでのポイント>

売上総利益率を高めてこそ 企業は存在する価値がある

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公認会計士

大学在学中に公認会計士二次試験合格。外資系大手会計事務所に入所し、会計監査4年、経営・ITコンサルタント6年(取締役)。IT系サービス会社に経理部長として転籍し東証上場の陣頭指揮を執る。株式公開後、新規事業企画推進本部長(取締役)としてインターネット事業、IT教育事業を推進。5年勤務の後「公認会計士による公認会計士の転職紹介」をはじめ、経理職の転職紹介・派遣・教育を柱とする事業会社を設立。15年経営し、事業譲渡。これまで、中小企業大学校講師、大学非常勤講師、商工会議所相談員、学校法人理事、社団法人監事なども歴任。主な著書に『決算の謎』(廣済堂出版)、『最新最強の履歴書・職務経歴書』(監修・成美堂出版)などがある。

著者紹介

決算書はここだけ読もう [2017年版]

決算書はここだけ読もう [2017年版]

矢島 雅己

弘文堂

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