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連載「決算書分析」で取引先の支払い能力を見極める方法【第2回】

「流動比率」から企業の安全性を分析する際のポイント

決算書安全性分析

「流動比率」から企業の安全性を分析する際のポイント

前回は、企業の安全性を分析するための「5つの指標」について解説しました。今回は、「流動比率」から分析する際のポイントを見ていきます。

「流動比率」とは何か?

① 流動比率
(流動資産÷流動負債)×100%

 

《ある本に記載されている内容》
流動比率は、流動資産と流動負債の比率を計算して、パーセンテージで表したものです。流動資産とは、1年以内に回収できる資産を指します。すぐに換金できる現金、預金などの当座資産と、商品在庫や原材料、仕掛品などの棚卸資産、その他の短期資産をすべて合わせたものです。一方、流動負債は、1年以内に返済しなければならない負債のことです。支払手形、買掛金、短期借入金、預り金、未払金などがそれにあたります。つまり流動比率とは、1年以内に返済しなければならない負債に対する、1年以内に回収できる資産の割合を表したものです。一般的には、下記のように考えられています。

 

200%以上:超優良

120%以上:まあまあ

100%未満:危険

 

《著者の視点》
理屈からすると、1年以内に払う負債よりも1年以内に回収できる資産が多いほうが安全であるというのは、確かにまっとうな考え方です。ですが、200%以上なら本当に超優良で安全なのでしょうか? そうとは言いきれません。断言します。なぜなら、流動資産のすべてが必ずしも1年以内に回収できるとは限らないからです。たとえ、流動比率が236%であったとしても、資産の内容に問題があって回収できないならば、安全で超優良とは言えません。ですから、流動比率が高かったとしても、資産の内容をチェックすべきです。

 

・売上債権は本当に1年以内に回収できるのか?

・棚卸資産は不良化していないのか?

・短期貸付金は毎年回収できているのか?

・仮払金などの実態がよくわからない科目の残高が多すぎないか? 増えていないか?

「流動比率」と併せて「資産」の実態も評価する

流動比率で安全性を評価するならば、資産の実態も評価すべきですので、売上債権や棚卸資産の回転期間、回転期間の変化も一緒に評価してください(本来的には、その他流動資産にも不良化した資産が計上されていることも多いのでチェックすべきです。最低でも、売上債権と棚卸資産の回転期間は、必ず確認してください)。

 

ちなみに、上場7カ月で粉飾が発覚して倒産したエフオーアイという会社の流動比率は236%でした。これに対して、売上債権回転期間は23.17カ月。売上債権回収に2年近くかかるなんて普通では考えにくいので、たとえ流動比率が236%でも、何じゃこりゃ? と思うはずです。

 

ところで、この会計士の先生が書いた本には「流動比率120%以上:まあまあ」と記載されています。すごく上から目線な表現だなぁ、と感じます。ちなみに、トヨタ自動車の2016年3月期連結の流動比率はまあまあ以下の112.9%でした。

本連載は、2016年10月12日刊行の書籍『取引先の倒産を予知する「決算書分析」の極意』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

田中 威明

アロックス株式会社 代表取締役社長

大学卒業後、機械メーカーの営業職を経て、「倒産リスク情報」を販売する企業に入社。商社や金融機関、メーカーの調達部門などを中心に、数多くの企業の与信管理業務やサプライヤ管理業務をサポートする。2013年3月、アロックス株式会社を設立。決算書に基づいた倒産リスク評価を行うソフトウェア「アラーム管理システム」を提供し、「決算書を読めない人の数をゼロにする」ことを目標に、システム開発やセミナー等を行っている

著者紹介

連載「決算書分析」で取引先の支払い能力を見極める方法

取引先の倒産を予知する「決算書分析」の極意

取引先の倒産を予知する「決算書分析」の極意

田中 威明

幻冬舎メディアコンサルティング

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