投資信託の種類によって「リスク」が大きく異なる理由

今回は、投資信託の種類によって「リスク」が大きく異なる理由を見ていきます。※本連載では、毎年1000を超えるファンドを分析する投信評価会社に所属する「投信のプロ」が、投資信託の基礎知識を世界一わかりやすく解説します。

投資信託のリスクは組み入れる「資産」で変動

ここでは、投資信託を選ぶ際のポイントについてお話ししましょう。投資信託選びは、どのような資産を選ぶのかによって、その収益やリスクは違ってきます。すでに第2回でみたように、あなたにあった資産形成とは、どのような料理を選ぶのか、すなわち、どのような資産を組み入れる投資信託を選ぶのかによります。ご年配であれば大きなリスクをとることは好ましくないので、比較的リスクが小さい債券などの資産を中心とした資産形成をおこなうことが基本的な考え方です。これは、料理にたとえれば、脂っこくてカロリーの高い中華料理よりも、カロリーが低い和食を選ぶようなものです。

 

この考え方をベースにしたうえで、実際に投資信託を選ぶ際の注意点について触れておきましょう。というのは、同じ資産を組み入れる投資信託でも、すべてが似たような動きをするとは限らないからです。

 

図は、国内の株式や債券と並んで主要な投資対象資産の1つである、先進国の債券(外国債券)を投資対象とするファンドのリスクとリターンの状況について示したものです。中央付近にあるブルーの大きな丸は、外国債券の代表的な指数を表しています。そして、小さな無数の点は、みなさんに提供されている公募販売の外国債券ファンドすべてを表示しています。

 

【図表】

 

たとえばインデックスファンドに投資をすれば、代表的な指数に連動する投資成果を目指すものなので、外国債券の代表的な指数(ブルーの大きな丸)に近い運用となりますが、アクティブファンドであれば、選び方によっては、リスクの小さいファンドもあれば極端にリスクの大きいファンドもあることがお分かりいただけます(図の横軸)。同じ和食でも、ヘルシーな刺身定食やそばがある一方でカロリーの高い天丼もあるように、同一の資産といってもリスク水準が異なるファンドは存在します。

 

外国債券のように海外の資産を投資対象とする場合には、為替の変動を避けるために為替ヘッジを付けると価格変動のリスクが抑えられます(それだけリターンも小さくなります)。図上には日本債券の代表的な指数も掲載していますが、為替ヘッジをつけることにより、価格が変動するリスクの大きさは、外国債券よりもむしろ日本の債券に近い水準にまで小さくなることがわかります。

 

一方で、通貨選択型であるとかオプションを組み合わせたファンドなど、複雑な仕組みのファンドでは、価格が変動する要因が組み合わさっていることから、リスクが大きくなりやすいです。ここで気を付けないといけないことは、外国債券のリスクとは大きくかけ離れたものになっているということを認識しているかどうかです。図の右側にあるファンドの中には、むしろ外国株式の代表的な指数に近いファンドもあります。

 

和食を食べているつもりでも、カロリーや塩分は洋食並みです。健康に気遣っている人にとっては想定外ですよね。このことを理解してそのファンドを選んでいるのであれば問題ないのですが、そうでなければ、想定外の損失を被る可能性も秘めているのです。

リスクを把握して、納得できる範囲内での運用を

このように、同じ資産に投資したつもりでも、ファンドの仕組みによってはリスクが大きく違うことがあります。リスクとは損失を受ける可能性の大きさなので、そのことを把握しておかなければ、想定外の損失を被ることもあるのです。

 

一般的に、仕組みが複雑なアクティブファンドでは、リスクが大きくなる傾向があります。また、単一国への投資など、投資対象を限定するとリスクが高まります。それに対して、その資産の代表的な指数の動きと連動することを目指すインデックスファンドであれば、極端な価格の動きや想定外の動きをすることはありません。

 

アクティブファンドは、カレーやハンバーガーでトッピングを付けるようなものです。カレーにコロッケを付けるとかハンバーガーにチーズをのせるくらいであればいいのですが、通貨選択型のファンドなどは、カレーそのものの値段と同じくらいたくさんのトッピングをのせているようなものです。それは、外国債券そのものの倍近いリスクの大きさになっているファンドもあることをみればわかります。

 

 トッピングも、自分の好みの範囲内でほどほどにしておくのと同じように、アクティブファンドも自分が理解し納得できる範囲の仕組みにしておくことが、健全な資産形成における投資信託選びの鍵です。

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三菱アセット・ブレインズ株式会社 シニアコンサルタント

慶応義塾大学卒、唐木研究会出身。三菱UFJ信託銀行において、投資の専門家として20代前半から数十年にわたり、ファンドマネージャー、トレーダーとして一貫して運用の最前線に身を置き、市場のなんたるかを体得。その経験をもって、現在は、投資信託の評価会社である三菱アセット・ブレインズ(MAB)において、投資信託の販売支援や投資教育などを通じ、個人が安心して健全な資産形成に励むことができるための啓蒙に取り組んでいる。
書籍『顧客をリスクから守る資産形成術』(きんざい)を始め、資産形成に関する記事を新聞、雑誌に多数掲載。

三菱アセット・ブレインズ株式会社(MAB)
http://www.mab.jp/

著者紹介

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