前回は、節税目的で「一般社団法人」を設立する際の留意点について説明しました。今回は、相続対策では財産を「守る」より「増やす」視点が重要な理由について見ていきます。

相続税の実質負担を抑えるには「儲ける」発想が必要

相続対策には様々な手法がありますが、基本は保有している資産をいったんすべて棚卸しし、不良資産については予め優良資産に組み替えていくことです。場合によってはローンを借りてレバレッジをかけ、資産全体のインカム(収入)を増やし、結果として相続税の負担を合理的に抑えられればいいのです。

 

こうした本当の相続対策を実現するためには、今ある資産をただ「守る」のではなく、積極的に「儲ける」発想が必要になります。言い換えれば「投資」です。

 

「投資」とは、一定のリスクをとって、リターンを得ることです。特に、リスクをとるという意識が大切です。これは何も、自分が理解できない投資をしたり、無謀なハイリターンを狙うということではありません。リスクをコントロールし、なるべく軽減しながら、リターンを増やせばいいのです。

 

ところが、代々の地主や企業経営者でも2代目になると、リスクをなるべく避け、とにかく安全志向になりがちです。周りで失敗したケースをいろいろ聞いていると、怖くなって何もしないのがいいとなるのでしょう。

 

しかし、これからの時代は「何もしないこと」が大きなリスクであることを理解すべきです。大事なのは、リスクをとる覚悟をし、そのリスクを専門家を活用したりしてコントロールし、軽減することです。

資産設計や人生設計を踏まえて相続対策を検討

そういう意味で、相続対策に一番必要なのは、企業経営などと同じ「経営マインド」だと思います。数億円の資産を持っている方は、企業経営者と同じポジションにいると認識すべきです。経営ではまず、目標設定が欠かせません。資産家であれば、「ゆとりある老後を過ごすために毎月50万円の収入が欲しい」といったことです。

 

次に、そのために、資産をどう組み替えていくかを考えます。相続税を払っても、資産が減らなければそれで問題ありません。むしろ、相続が発生したとき、3億円だった資産が10億円に増えていたとしたら、相続税を払ってもまったく問題ないはずです。

 

ベースにあるのは、人生哲学や価値観です。相続対策とは、資産設計や人生設計そのものであり、そこには「経営マインド」が不可欠なのです。

本連載は、2015年9月19日刊行の書籍『余命一カ月の相続税対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
〈税務の取扱に関する留意点〉
本連載の内容は、平成28年7月現在の税制・関係法令等に基づき記載しております。今後の税制改正等により税務の取扱等が変わる場合もありますので、記載の内容につきましては将来にわたって保証されるものではないことにご注意ください。個別の税務取扱い等については、税理士や所轄税務署等にご確認されることをお勧めします。

余命一カ月の相続税対策

余命一カ月の相続税対策

福田 郁雄,木村 祐司

幻冬舎メディアコンサルティング

突然やってくる“その時”、わずかな時間でできる対策は限られています。しかし、正しいノウハウをもってすれば、相続税対策は2週間程度で完了、相続税をゼロにでき、それどころか、子孫に受け継いだ資産がその後も増え続けて…

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