前回は、子どもが会社を「継ぐ気がない」場合の対策を紹介しました。今回は、経営者にとって大きな負担となる、「経営者保証」を外す方法を見ていきます。

「経営者保証」を外せば、心理的負担もなくなる

〝儲け上手社長〞となれば、お金のゆとりができ、心には安心感が生まれることでしょう。その安心感を、金融機関に「経営者保証」を外してもらって、さらに高めることを検討してみてはいかがでしょうか。

 

今現在、銀行や信用金庫などから融資を受けている経営者の多くは、会社の債務について連帯保証(経営者保証)を行っているはずです。会社に万が一のことがあれば個人財産を全て失うことになりかねないのですから、この経営者保証に対して強い心理的負担を感じており、「できれば外したい」と願っている人は少なくないでしょう。

 

そのような経営者にぜひ活用してもらいたいのが、平成26年2月から運用が開始されている「経営者保証に関するガイドライン」です。

 

この「ガイドライン」は経営者保証の負担軽減を目的として策定されたもので、一定の条件を満たした中小企業については経営者保証を解除することが金融機関に求められています。

 

つまり、ガイドラインに定められている条件に合えば、経営者保証を外せる可能性があるのです。実際、ガイドラインに従って経営者保証が解除されたケースも少なからず現れています。

経営者保証を外すために必要な条件とは?

では、経営者保証を外すためには、どのような条件が必要となるのでしょうか。まず「ガイドライン」は、以下の(1)から(4)を満たす保証契約に適用されます。

 

(1)主債務者が中小企業であること。

 

(2)保証人が個人であり、主債務者である中小企業の経営者等であること。

 

(3)主債務者である中小企業と保証人であるその経営者等が、弁済に誠実で、債権者の請求に応じて負債の状況を含む財産状況等を適切に開示していること。

 

(4)主債務者と保証人が反社会勢力でなく、そのおそれもないこと。

 

これらの4つの条件が満たされており、なおかつ①法人と経営者の関係の明確な区分・分離、②財務基盤の強化、③経営の透明性が確保されている場合には、金融機関は保証の解除を検討しなければなりません。

 

①から③の詳細については、ガイドラインで以下のような形で示されています。

 

①法人と経営者の関係の明確な区分・分離

 

融資を受けたい企業は、役員報酬・賞与・配当、オーナーへの貸付など、法人と経営者の間の資金のやり取りを、「社会通念上適切な範囲」を超えないようにする体制を整備し、適切な運用を図る。そうした体制の整備・運用状況について、公認会計士・税理士などの外部専門家による検証を行い、その結果を債権者に適切に開示することが望ましい。

 

②財務基盤の強化

 

融資を受けたい企業は、財務状況や業績の改善を通じた返済能力の向上に取り組み、信用力を強化する。

 

③経営の透明性

 

融資を受けたい企業は、自社の財務状況を正確に把握し、金融機関などからの情報開示要請に応じて、資産負債の状況や事業計画、業績見通し及びその進捗状況などの情報を正確かつ丁寧に説明することで、経営の透明性を確保する。

 

情報を開示した後に、事業計画・業績見通し等に変動が起きた場合は、自発的に金融機関に報告するなど、適時適切な情報開示に努める。情報開示は、公認会計士・税理士など外部専門家による検証結果と合わせた開示が望ましい。

本連載は、2015年11月12日刊行の書籍『「儲かる」社長がやっている30のこと』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「儲かる」社長がやっている30のこと

「儲かる」社長がやっている30のこと

小川 正人

幻冬舎メディアコンサルティング

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