前回は、工場・倉庫投資においては、建物がボロボロなほどいい理由を説明しました。今回は、工場・倉庫投資が「震災」のリスクにも強い理由を見ていきます。

「起臥寝食の場」として使用されない点が強み

マンションでは、部屋に日の光がよく入ることが大きなアピールポイントとなりますが、工場・倉庫では日当たりの善し悪しは全く関係ありません。

 

むしろ、保管用の倉庫として使う場合には、あえて全ての窓をふさぐケースもあるほどです。居住物件のように、借主が「南向きでなければダメだ」「北向きは絶対にいやだ」などとこだわりを示すようなことはほとんどありません。

 

 

さらに、起臥寝食の場として使用されるわけではないため、マンションやアパートほどは地震への不安を抱かれることはありません。

自然環境や災害による「心理的な影響」も受けにくい

ちなみに、2011年3月の東日本大震災直後、マンションに関しては震災に起因する解約が数多く発生しました。

 

たとえば、リーシング・マネジメント・コンサルティング社は都心部を中心とした賃貸マンションの仲介店舗を対象に、2011年に「震災が原因と考えられる解約は発生しましたか?」というアンケート調査を行いました。

 

そこに示されているように、実に6割以上の回答者が、震災が原因となった解約があったことを認めています。

 

しかし、当社が取り扱っている物件を例にすると、工場・倉庫に関してはほとんど解約がありませんでした。とりわけ震災の被害の大きかった湾岸エリアでも、住民が大騒ぎしていたマンションのケースとは異なり、目立った影響は見られませんでした。

 

このように、工場・倉庫は、マンションに比べて利用者が自然環境や災害による心理的な影響を受けにくい点も大きなメリットといえるでしょう。

 

[図表]東日本大震災と賃貸ニーズの関係

出典/リーシング・マネジメント・コンサルティング『東日本大震災後の都心賃貸マンション市場の動向』(2011年)
出典/リーシング・マネジメント・コンサルティング『東日本大震災後の都心賃貸マンション市場の動向』(2011年)

 

本連載は、2016年7月27日刊行の書籍『「工場・倉庫」投資のススメ』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「工場・倉庫」投資のススメ

「工場・倉庫」投資のススメ

三浦 孝志

幻冬舎メディアコンサルティング

高齢化と人口減少により、空室率が上昇し続けているアパート・マンション。都心部の一等地にあるような立地条件のよい物件か、付加価値の高い築浅物件でもないかぎり、もはやアパート・マンション投資で儲けることはできません…

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