前回は、営業マンに「顧客を思う気持ち」を持たせるべき理由を説明しました。今回は、営業マンを育成する上で意識したい「自由にやらせる」というポイントについて見ていきます。

経営者の価値観を営業マンに押しつけていないか?

営業マンを育成するうえでの私の今のテーマは、「いかに自由にやらせるか」です。先ほどの目標設定もそうですが、会社からノルマを与えるのではなく、営業マン自身で目標を決めさせることを大事にしています。

 

彼らが自主的に動けることが、お客様に対して〝自分の言葉で語る〞ことに繋がるからです。

 

そのためには、彼ら自身の目標に対して、こちらが「いい」とか「悪い」とかを一方的に決めるべきではありません。「たくさん売ることを目標にしたい」という営業マンがいたら、会社としては頼もしい存在として認め、「お客様のためになる仕事がしたい」という営業マンがいたら、人間として立派な志だと認めていくべきでしょう。

一人ひとりが目標を持てるように「サポート」を

ただ、「自由にやらせる」ことは、経営者にとっても営業マン自身にとっても、とても覚悟のいることであり、とても高等な仕事の領域です。

 

自由とは、責任が伴うということです。自分で考え行動して、その全ての結果を引き受けるという覚悟が必要なことなのですが、「自由」=「好きなようにできる」と、自分に都合よく楽ができるような錯覚をする人もいます。

 

仕事に対する考え方や理念の浸透度は人により違います。営業マンたちを自由にさせ過ぎると、コントロール不能に陥るリスクがあります。自由を勘違いさせ暴走を制止できなければ、その会社は空中分解してしまいます。

 

ノルマ第一の会社で働く営業マンは、毎日「ノルマ、ノルマ」と追い立てられてきつい思いをするかもしれませんが、逆に言えばノルマのことだけ気にしていればいいので、何も考えなくて済みます。

 

一方、ノルマがないと聞くと、「そんなラクチンな会社があるのか。ラッキーだな」と思われるかもしれませんが、実際にはノルマを与えてもらえない分、営業マンは自分で考えて行動しなくてはいけません。

 

自分でノルマ(到達点)を設定し、到達点にたどり着くための手段やルートを考えるというのは、非常に難易度の高い課題です。悪い結果が出たとしても、その全て引き受けなければならないのですから。

 

経営者の側も、口で「自由にやりなさい」と言うのは簡単ですが、実際にそれを実践しようと思うと、とても困難であることを思い知らされます。必ずしも自分で目標設定ができる営業マンばかりではないからです。

 

経営者は、目標設定ができない者がいたら、自分で目標を見つけられるように様々なサポートや導きをしていかなくてはなりません。この作業は時間も労力もかかります。一方的にノルマを与えたほうが、ずっと楽だということが実感できるはずです。

 

それでも、私は自社の営業マンたちには自由にやらせたい、いえ、やらせなくてはならないと思っています。それは、彼らが自主的に行動し、自らの言葉で語れるようになってはじめて、〝真の営業マン〞になれると考えるからです。

 

この自立した営業マンがどれだけいるかで会社の「強さ」は決まると思います。そして自立した者同士が集まり、さらに、それぞれの弱みを補完しあうチームづくりができれば、強靭な組織が出来上がるのだろうと考えるからです。

 

責任のない仕事をする自立できない者がいくら集まっても、それはただの仲良しクラブにしかなりません。目指すは「自立ある共生」です。

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