税金 減価償却 節税
連載元・東京国税局部長が明かす、スゴい「減価償却」【第4回】

減価償却資産の法定耐用年数が資産ごとに決まっている理由

法定耐用年数課税期間経費損金メルマガ会員限定

減価償却資産の法定耐用年数が資産ごとに決まっている理由

前回は、減価償却がどのような考え方のもとに成り立っているかを説明しました。今回は、その続きとなりますが、減価償却資産の耐用年数などについても見ていきましょう。

「減価償却資産」を取得する理由は何か?

個人や法人が減価償却資産を取得する目的は、その資産を使って収入を得ることです。減価償却では、資産の取得に投下された資金(=購入にかかったお金)が、その法定耐用年数の全期間を通じて回収されていくことが税法上の前提として考えられます。回収できなければ、その分が損になってしまいます。

 

その前提に立てば、減価償却資産の取得にかかったお金は、取得時に全額を経費・損金
とするのではなく、法定耐用年数の各課税期間に経費・損金として配分していくことになります。

 

やや難しい言い方になってしまいましたが、要するに100万円で買った償却資産が耐用年数5年であれば、20万円ずつ5年に分けて経費・損金を計上したりする、ということです(配分の仕方は等分に限りません)。

 

[図表]原価償却は帳簿上で経費を分割計上する
[図表]原価償却は帳簿上で経費を分割計上する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここまでをまとめると、減価償却とは、減価償却資産の取得に要した金額を一定の方法によって各課税期間の経費・損金に配分していく手続きといえます。

 

新築の賃貸用アパート(鉄筋コンクリート造)を例に整理しましょう。

 

自分の土地に、RC造アパートを5000万円で取得したとします。ここまで述べてきたとおり、「5000万円」という現金が賃貸アパートの建物に形を変えたわけですが、その全額が一度に所得計算上の経費や損金になるわけではありません。

 

この場合のRC造アパートの法定耐用年数は47年です。所得計算上の経費や損金になる減価償却費は、5000万円を47年かけて均等に償却していくことになるので償却率は0.022、1年間に計上する費用=償却費は「5000万円×0.022(償却率)=110万円」です。建物の取得価額の47分の1相当額が経費や損金になり、帳簿価額が1円になるまで47年にわたって償却できることがわかります。

土地や骨董品は減価償却できない

減価償却資産の法定耐用年数が資産ごとに画一的に定められているのは、納税者間の公平性を保つためです。資産が使える期間を納税義務者の見積もりに委ねた場合、納税義務者の事務負担になってしまうことや、同一の資産でも人によって耐用年数がバラバラになってしまい、結果として課税の公平が損なわれる恐れがあるのです。減価償却資産の法定耐用年数については、その資産の物理的使用可能年数や技術革新等の機能的な陳腐化等を総合勘案したうえで定められていると考えられます。

 

さて、減価償却がどういう制度であるか、ざっと解説してきましたが、ここで一つ質問です。土地や骨董品は減価償却できる資産でしょうか。答えはNOです。

 

なぜなら、土地も骨董品も、時間が経過することで価値が減っていくものではないからです。いくら高額な資産だとしても、経費や損金を何年にもわたって配分することはできません。どういった資産が、どのような理由で減価償却されるのか、大まかにご理解いただけたでしょうか。

本連載は、2014年4月25日刊行の書籍『スゴい「減価償却」』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

本連載の内容に関しては正確性を期していますが、内容について保証するものではございません。取引等の最終判断に関しては、税理士または税務署に確認するなどして、ご自身の判断でお願いいたします。

杉本 俊伸

杉本俊伸税理士事務所 所長・税理士

1967年宮城県生まれ。中央大学法学部を卒業後、国税庁入庁。大曲税務署長、関東信越国税局調査査察部国際調査課長、ハーバード大学ロースクール、財務省主計局主計官補佐、国税庁資産課税課課長補佐、税務大学校研究部主任教授兼国税庁国際業務課、東京国税局調査第三部長等を経て、2013年12月退官。2001年米国公認会計士資格合格。東京国税局の調査部長として大企業の税務調査を指揮したほか、国税庁では全国国税局の資産課税事務の指導監督などを経験。現在は相続・事業承継、税務調査対策、国際税務に関するコンサルティングに取り組んでいる。

著者紹介

連載元・東京国税局部長が明かす、スゴい「減価償却」

スゴい「減価償却」

スゴい「減価償却」

杉本 俊伸+GTAC

幻冬舎メディアコンサルティング

「減価償却で節税」とはよく聞きますが、課税と節税の仕組みを十分に理解して使いこなせている人は多くありません。減価償却を活用するポイントは、タックスマネジメントです。タックスマネジメントとは、税額や納付のタイミン…

相続・事業承継セミナーのご案内 有料 10,000円 主催:カメハメハ倶楽部

資産5億円以上の方のための元・国税局部長による戦略的「相続税」対策

~もう相続税対策のためにタワーマンションを買ったり、アパートを建てたりする必要はありません

講師 杉本俊伸 氏
日時 2017年03月11日(土)
内容

・備えあれば患えなし!相続税を賢く乗り切る

・相続税納付資金に困らない!グローバル資産増大法

・金融資産、不動産、自社株の個別対策

・相続税対策におけるシークレットスキーム活用法

・相続税対策における最前線の合法節税法とは?

会場 幻冬舎本社ビル内 セミナー会場
税務セミナーのご案内 有料 10,000円 主催:カメハメハ倶楽部

元・東京国税局部長が明かす「海外資産」保有者のための最新税務対策

~金融口座情報の自動的交換に対応した国際的な資産防衛の進め方

講師 杉本俊伸 氏
日時 2017年03月25日(土)
内容

・規制強化?タックスヘイブン対策税制と5年超海外移住スキームに係る税制改正の動向

・2018年から始まる金融口座情報の自動的交換とは?

・金融口座情報の自動的交換に対応した国際的資産防衛法

・資産家向けグローバルタックスマネジメント

・税効果抜群!グローバル資産増大法

会場 幻冬舎本社ビル内 セミナー会場

Special Feature

2016.11

「法人保険」活用バイブル<書籍刊行>

決算対策、相続・事業承継、財産移転・・・企業とオーナー社長のさまざまな課題解決に、絶大な効果を発揮する「法人保険」の活用…

GGO編集部(保険取材班)

[連載]オーナー社長のための「法人保険」活用バイブル~決算対策編

【第19回】保険のための医的診査 結果が「少し悪い」ほうが社長が喜ぶ理由

GTAC(吉永 秀史)

[連載]法人保険を活用した資産移転の節税スキーム

【第15回】「逆ハーフタックスプラン」活用時の留意点

Seminar information

海外不動産セミナーのご案内

「ニューヨーク不動産」投資の最新事情

~世界の投資家が集まるニューヨークでの不動産投資とは?  現地日系の最大手不動産会社の担当者が語るNY不動産活用術

日時 2016年12月07日(水)
講師 川上恵里子

事業投資セミナーのご案内

いま最もアツい再生可能エネルギー「風力発電」投資を学ぶフェア

~2016年度の買取価格は55円。業界の最新事情と専門会社が取り扱う投資案件の実際

日時 2016年12月07日(水)
講師 近藤陽一

不動産活用セミナーのご案内

償却メリットを狙った「京都の町家」投資の魅力

~建物比率5割超&4年で減価償却も可能!独自の不動産マーケットを形成する京町家だから実現する投資法

日時 2016年12月10日(土)
講師 平野準

The Latest