今回は、がんの「在宅療養」にかかる費用について見ていきます。※本連載は、生命保険の専門家であり、自身も医師として活躍する佐々木光信氏の著書、『比較検証、がん保険 』(保険毎日新聞社)の中から一部を抜粋し、近年長足の進歩を遂げている「がん医療」の種類と変遷を紹介します。

非常に複雑な「在宅療養」の費用負担の仕組み

がん患者が、軽快せずに退院して「在宅医療」を受ける場合や「ターミナルケア」を自宅で受ける場合がありますが、具体的イメージがつかめないかもしれませんので、事例を提示します。事例に基づいた医療費と自己負担額になります(以下図表1参照)。

 

[図表1]平成28年4月以降 在宅症例64歳 緩和ケア病棟入院と在宅療養の費用

 

<在宅症例> 64歳男性、末期の肝臓がんのため在宅療養中

 

●急に症状が悪化したことにより、一時的に緩和ケア病棟に入院後退院

 

●十分な緊急往診及び看取りの実績を有する在宅療養支援病院から、週2日定期的な訪問診療を受けている

 

●訪問看護ステーションからの訪問看護を週4日受けている

 

●自己負担3割の患者

 

<在宅医療と入院医療の円滑な連携のための各種加算>

 

●緩和ケア病棟緊急入院初期加算

緩和ケア病棟における在宅医療からの緊急入院を評価することで、症状増悪時に緩和ケア病棟における充実した緩和ケアを受けることができるようになる。

 

退院後訪問指導料・訪問看護同行加算

退院直後の病院からの訪問指導を評価することで、入院医療から在宅医療へ円滑に移行できるようになる。

 

●介護支援連携指導料

入院中の介護支援専門科医との連携を評価することで、退院後の介護サービス等の利用が円滑になる。

 

●在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料

重症患者を評価することで、より充実した在宅医療を受けることができる。

 

●在宅緩和ケア充実診療所・病院加算

緩和ケアに関する十分な実績をもつ医療機関を評価することで、実績のある医療機関から安心して在宅緩和ケアを受けることができるようになる。

 

「在宅療養」の費用負担をイメージできたでしょうか。複雑な各種加算が算定されています。平成28年度診療報酬の改定で新設された加算や合わせて改正された訪問看護療養費(保発0304第12号)も含まれています。

「介護サービス」の利用は年齢要件にも留意

基本的には、急性期治療の大病院と異なり、地域包括ケアシステムの中で、在宅療養支援病院への入院と自宅での在宅療養を繰り返しながら地域の中でがんのターミナルケアが進んでくことになります(以下図表2参照)。

 

[図表2]在宅療養の構図

 

さて、年齢が65歳以上であれば表に列記された医療用サービス以外に介護保険一号被保険者として、介護サービスも利用できます。

 

また、がんや治療後の後遺症で身体障害になれば、各種福祉サービスを受けられる可能性もあります。

 

介護保険は

 

 

となっています。すべてのがん患者が介護サービスを受けられるわけではありません。

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    佐々木 光信

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