今回は、最近注目されている「がん免疫療法」について見ていきます。※本連載は、生命保険の専門家であり、自身も医師として活躍する佐々木光信氏の著書、『比較検証、がん保険 』(保険毎日新聞社)の中から一部を抜粋し、近年長足の進歩を遂げている「がん医療」の種類と変遷を紹介します。

最後の療法ともされる「がん免疫療法」だが…

最近注目されているのが、「がん免疫療法」です(下記の図表1参照)。しかし、その多くは、市中の開業医が行っている自由診療の「細胞免疫療法」で、やや専門的になりますが、「非特異的免疫療法」という治療法に属する「活性化リンパ球注入療法」と呼ばれた治療法が主でした。

 

[図表1]がんの免疫療法

 

免疫療法の効果は、通常の抗がん剤と同様の評価をすることは困難で、悪性新生物の進行抑制が主な治療目標になってきました。

 

外科的治療、内科的治療、その他すべての治療法で効果がなくなり、主治医が“匙を投げた”ような場合に、最後の療法として「がん免疫療法」を採用している開業医で自由診療を受ける方もいます。この分野で最も歴史のあるクリニックでは、3ヵ月間に6回の施術で、130万円程度の費用がかかるとしています。

他治療との組み合わせで、大きな効果が見られることも

最近、「免疫療法」の世界に医学的なブレイクスルーがあり、通常の抗がん剤に類似した効果まで確認されるようになりました。最近期待されている免疫療法は、

 

●殺腫瘍細胞効果のある免疫細胞の攻撃性を強化する細胞療法

●がん免疫にブレーキをかける機序を解除する治療

●ペプチドワクチン療法

 

などです(以下、最近のがん免疫療法参照)。

 

①免疫力強化

 

●がんワクチン療法
がん細胞である標識を認識する免疫細胞を増加させる治療方法

 

●Tリンパ球養子免疫療法
がんを攻撃する免疫細胞を遺伝子改変技術で増加させる

 

②免疫抑制機序の解除

 

●免疫チェックポイント阻害剤
現在、最もホットな免疫療法

 

最近、「ニボルマブ」という世界初の薬剤が日本で創薬後保険承認され、臨床で使用されるようになりました。単独治療や他の免疫治療との組み合わせ、または化学療法との組み合わせにより治療効果が確認されています。

 

まさに、免疫療法の世界の大躍進で、がんの治療医も注目しています。ようやく、真の意味の「第四の治療法」が、世に現れたと言えるでしょう。

 

この話は次回に続きます。

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    佐々木 光信

    保険毎日新聞社

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